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02月25日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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 繊細かつダイナミックな演奏に加え、豊富な知識やユーモアあふれるトークでクラシックファンを超えて人気のピアニスト、清塚さん。今年の活動は全国を回るコンサート「47都道府県ツアー2020『名曲宅配便』」から始まる。


 「昨年、日本武道館で単独公演をやらせて頂いてすごくうれしかったのですが、その一方で、コンサートが地元の身近な会場で開かれないと生の音楽を聴けないという人たちもいて、そんな方々への演奏も大切にしたいなと思ってこの公演を企画しました。音楽は多くの人に聴いてもらってこそのものなので」


 ピアノを始めたのは5歳の時。「プロになるためにも今頑張りなさい」と言う母親の英才教育のもと、一日12時間以上も練習。目標は常にコンクールで評価されることだった。


 高校卒業後、あまりに厳しい母親や先生から逃げたくてモスクワへ留学。ここで過ごした2年間が自身を大きく変えたという。「初めて自分の時間というものが与えられ、とことん自らについて考えました。やらされていると思っていたピアノは本当にしたいことなのかとか」


 出てきた答えは、何でもいいから自分の表現でより多くの人とつながりたいという強い思いだった。「となると、幼少期から一番身近にあって自己表現がすんなりできるのはピアノであり、音楽。だったらやめる必要はないと思い、続けることにしました」


 せっかくならクラシックの枠にとどまるのではなく、芸能全般の中でピアノを手段にして自己表現をしようと決めた清塚さんは、まず本格的に曲作りを始める。帰国後すぐに履歴書とデモテープを携え、映画製作会社や芸能事務所などを行脚した。


 「映画音楽を作れます、音楽モノなら演技指導もできますと、自分にできることを総動員して売り込みました。数え切れないほど回りましたね」。行く先々で門前払いされたり、罵倒されて突っぱねられたりと、営業活動はつらいことだらけ。5歳から血のにじむような努力で育ててきたピアノという芸を、全否定されているようで毎回傷ついた。しかしそこで諦めずにやり続けたのは、「これが計画的な頑張りだったから」だと清塚さんは言う。


 「ただ目の前だけを見ていたわけではないんです。その23年先、この努力が成就した時に何ができるか、自分は何になれるかとゴールを見据えて行動していたから頑張ることができた」。実際、その数年後、ドラマ「のだめカンタービレ」でピアノ演奏の吹き替えを担当することになる。そしてこれをきっかけに世に広く知られる存在になっていく。

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