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07月16日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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 独特の画風と、ゆるりとした文体ながらも鋭く本質を突くコラムで人気の辛酸さんは、穏やかそうな容姿とは裏腹にかなりの行動派だ。


 好奇心旺盛で、気になることは実際に経験して追究する。新刊『スピリチュアル系のトリセツ』も、パワーストーンや手相、風水、占い、神社、オーラ、守護霊、チャクラ、気功、波動などスピリチュアル系と言われるもののほとんどを実際に体験してまとめている。「それ系のイベントにも幾つか参加して、その場に集う人々についても書かせて頂きました」


 辛酸さんが漫画を描き始めたのは小学1年の時。「当時から妄想が好きで、ヨーロッパを舞台にした愛憎劇を漫画にしていました。今とは違って長編を描いていましたね」


 中学の頃からは美術大学へ進学したいという強い気持ちが芽生える。ところが両親は猛反対。諦めきれない辛酸さんは「文化祭のポスターや修学旅行のしおりなど、これまでやった実績を両親に見せて本気度をアピールしました」。そのかいあって高3から美術系の予備校に通わせてもらうことになる。「その分、お小遣いはもらえなくなりましたが(笑)」


 晴れて武蔵野美術短大のデザイン科グラフィックデザイン専攻へ入学。しかし、いざ授業を受けてみてがくぜんとする。「線を真っすぐに引けないし、色もムラができてしまう。私は細かな手作業が苦手でした」。自身が想像以上に不器用なことに気づいた辛酸さんは、もっと自分らしさを出せる、自由な表現方法は無いか模索する。「会社勤めも何となく自分には合っていない気がしていたので、就職しなくてもできることを何かやってみようと考えました」


 くしくも自宅には父親が購入したパソコンのMacがあった。それを使って簡単なゲームやアニメーションを制作。作品をフロッピーディスクに入れて自主制作のミニコミ誌上で販売したりしていたら、作品を見た人から声がかかって時々仕事が入るようになり、フリーペーパー作りを手伝ったりするようにもなった。


 また、アート関連のイベントにも顔を出し始める。するとその場で様々なクリエーターたちと出会い、ここでも仕事をもらうようになっていく。「ゲームデザイナーの事務所でアルバイトをさせてもらいながら、雑誌の連載なども任せてもらえるようになって、仕事は徐々に増えていきました」


 どんなに好きでも、違うと思えばスルッと次なる道へシフトチェンジ。そしてそこでやれることにとことん力を注ぐ。ほどよい情熱と柔軟さを絶妙なバランスで持ち合わせている。それが辛酸さんの強みである。

 

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