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09月19日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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栗山 20年のキャリアの中で、一番しんどいって思ったことは何ですか?


井上 デビュー後、2度目となる舞台「モーツァルト!」の時ですね。主役で、中川晃教君とダブルキャスト。僕はまず、モーツァルトの気持ちがつかめなくてどう演じていいか分からない。一方、中川君はモーツァルトそのものを生き生きと演じていて歌も素晴らしい。公演が始まると中川君の評価は急上昇し、賞も取ったんです。


栗山 それはけっこうキツイですね。


井上 いやあ、だから当時は随分、僕の人間性はゆがみましたよ(笑)。でも結局、自分と向き合わざるを得ないんですよね。彼にあって自分にないものは何だろう、なぜ自分は評価されないんだろう、と。


栗山 それをどう乗り越えたんですか?


井上 再演の話があったんです。また中川君とダブルキャストでした。逃げるのも嫌だったので自分なりに一生懸命やったら、少し手応えがあって今度は僕が賞をもらえた。結局「モーツァルト!」は5回やらせて頂きました。公演中は中川君ともそこまでは仲が深まらなかったのですが、終わってからはすっかり仲良くなりました。


栗山 なら良かったです。私は日々小さな挫折が幾つもありますが、そこまでの経験はまだないかもしれません。ただ、私はお仕事がなかったら家に引きこもってアニメを観(み)たり、ゲームをしてばかり。人間らしく居られるのはお仕事のお陰だなって最近つくづく思うんです。だから、夢はこの仕事を長く続けられることですね。


井上 僕も長く続けていきたいです。仕事の幅を広げたいという気持ちもあるけれど、まずは現状維持を目指したい。実は同じことをしていては現状の維持なんてできないと思うんです。つい欲張って大きな夢を追ってしまいがちですが、小さいことも少しでも前へと進めていけるよう努力して、それで初めて現状維持ってできると思うんですね。


栗山 間もなく始まる舞台「十二番目の天使」でも、毎日少しずつ成長できるよう頑張りたいです。それこそ今、前へ進めなくて落ち込んでいる人がいたら観て欲しいですね。自分なりの「キボウノアシタ」を照らしてくれる作品ですから。

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