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10月20日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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 「最高に幸せな寝落ち」の瞬間を求めたホステル「BOOK AND BED TOKYO」がオープンしたのは201511月だ。開業前の情報公開では、あえて施設内のCGと、「泊まれる本屋」というキャッチコピーだけを発信。それでも国内外から問い合わせが多く来て、当初から順調に稼働した。


 その理由は、様々な本をそろえた本棚はもちろん、コンクリート打ちっ放しの壁に、「イケてる先輩」の家をイメージしたおしゃれな空間だ。同ホステルのディレクションなどを担う力丸さんも、完成時「かっこいい! 世界中探してもこんなのない」と思ったという。


 「内装デザイナーにはポイントを話した後は細かい注文をつけず、楽しんでつくってもらいました」。力丸さんはずっとクリエーターと一緒に仕事をしてきて、どうすれば彼らが力を発揮するかをよく理解していた。


 また、置く本のセレクトをしてもらう書店も、大手から専門まで多くの店を回り、その中から自身が心引かれる所を選んだ。「本が大好きというわけではない僕でも手に取りたくなる本がたくさんあって、これだなって。僕らのホステルは、普段は読書をしない人も本と出合えるような場所にしたかった」


 ベッドスペースは本棚の中に組み込まれ、仕切りはカーテン。だからセキュリティーにも気を配る。予約で身元を確認し、精算はクレジットのみ。意外にも宿泊客の7割は女性だという。「個室でなくても、フロアがゆるいパブリックスペースとなっているので安心してもらえます。電車の中で緊張しないのと同じですね。スタッフも様々な手助けをしますし、皆さん、思い思いに楽しく過ごして頂けているようです」


 力丸さんが力を入れるのはスタッフの教育だ。「現場のことはスタッフに任せるという姿勢です。教育には時間が掛かるけれど、それもまた楽しい。コミュニケーションで大事にしているのは、自分の話を伝えるよりスタッフの考えを話してもらうこと。彼らの思いや現場での問題を聞くことで僕も勉強になり、一緒に解決に向かえる。それがチームで仕事をするということであり、彼らの自主性も養えます」


 宿泊の稼働率やデイタイムの集客も順調で、今後も出店は続く。「好評なのは、マーケットで求められることからの出発ではなく、自分たちがいいと思うものを伝えたいというのがスタートだったことが大きい。その思いがいつもあるから何事にも全力を注げます。皆さんが喜んでくれることを、今後もこだわって考えていきたいですね」

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