メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

06月13日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

新着記事一覧へ

 1984年に発売され、累計約650万個を売ったという伝説の文具セット、プラスの「チームデミ」。手のひらサイズのケースに、はさみやのり、ホチキスなどの文具を収納したもので、昨年そのリニューアル版が発売されて話題を呼んだ。「プロダクトデザイナー・深澤直人さんのセンスに、進化したプラスの技術を注いでデジタル時代の今にふさわしい製品になりました」


 そう語るのは、チームデミ復刻版のプロジェクトチームで企画を担った久保田さんだ。大学でデザインを学び、プラス入社後は文具開発を担当。「僕は83年生まれなので84年の製品をほとんど知りません。だから復刻版の話が来ても正直ぴんとこなかった。そもそも現代に必要とされるのかとモヤモヤする気持ちもありました」。他のメンバーも同世代が多く、なぜ今チームデミなのかという、デジタル時代の文具の存在意義にまで立ち返って徹底的に話し合った。


 そして様々な雑誌で取り上げられた84年版の資料も読み重ね、プロジェクトの意義を理解していく。現代も「文具女子」のように文具を愛好する人が少なくなく、その市場は確かにある。「持つことでワクワクしたり、生活の質を高めていると思えたりするチームデミって、今でもありだと初めて腹に落ちました」


 収納する文具のラインアップは84年版とほぼ同じ。「今はテープのりや針を使わないホチキスもあって、そんな新たな仕様にする案もありました。でも、シンプルなことや、文具のアイコンを示す形状であること、コンパクトに収まることなど幾つか我々が決めた条件で考えた時、前回と同様のものが採用されました」


 ただ、そこには新たな技術も盛り込まれている。例えばカッターの刃はフッ素加工し、メンディングテープを切ってもベタつかないようにした。また、現代らしく「SIMカード交換用ピン」も追加し、アイテムは8個に。そして進化の象徴として、ケースや文具のデザインを世界的プロダクトデザイナーの深澤さんに依頼した。


 「深澤さんは84年版をよくご存じで、当時いた会社では『ウォークマン』と『チームデミ』はデザインのお手本と言われていたとか。当初『このデザインは変える所がない』というお話でしたが、『同じものを復刻しても懐かしいだけで終わってしまう、現代にふさわしい新たなデザインを』とお願いすると快諾して頂けました」


 半年後、上がってきたデザインを見て久保田さんたちは息をのむ。狙い通りのスタイリッシュでシンプルな美しいデザイン。しかし「これは無理!」と思わず声が出る難題もあった。

その他の記事
さらに見る