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10月17日朝日新聞デジタル朝刊記事一覧へ(朝5時更新)

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楽しいことの深掘りは続けよう

 

 ダンスチームでは全員がダンスを踊るわけではなく、色々な役割が必要ですが、私は機会を見てはチームのメンバー一人ひとりに「得意なことは何?」と必ず尋ねます。10代の高校生でも、「声が大きい」「メイクが上手」などと得意なものがある。そういう自分らしさというものを知っておくことが大切だと思うのです。そして周りに言えば、きっと何かに役立てようよと気にかけてくれるはずです。

 私は3歳からダンスを習い始め、既に25年近くになります。それが現在の振付師の軸になっていますが、ダンス以外にも子どもの頃から好きだったことや、好奇心を持って費やしていた時間が積み重なって、私をここまで連れてきてくれたんだと思うんですね。

 例えばパソコン。物心ついた時から自宅には大きなディスプレーを備えたデスクトップパソコンがありました。ゲーム機は買ってもらえなかったので、ずっとタイピングのゲームをやっていて、小学2年生ぐらいには自在にブラインドタッチができるようになり、文章を考えるのがすごく好きだったので自作新聞も書いていました。中学生の頃には独学で音楽編集を、高校生で映像編集もできるようになり、大学生になったらユーチューブなどの動画投稿サイトに映像を上げていました。

 趣味や得意なことは、周囲が放っておいても自分でトライアルを繰り返して学び、いつの間にか深掘りしています。本人は何かに役立てようとか、将来の仕事に活(い)かそうなんて思ってもいない。ただ面白くて仕方がないから、没頭してしまうのでしょう。それは大人になってから必要に迫られて学ぶ知識とは違って、既に自分の一部として使いこなせるものなのです。

 ダンスとコンピューターの他に、私は幼い頃からお笑いが大好きです。育った大阪の土地柄もあり、テレビをつければ漫才番組をやっているし、暮らしの中にも「笑いのツボ」があふれています。創作という仕事で生きる今、ダンスでもこの笑いの要素がどれほど客席を喜ばせるか、いつも実感しています。でも国や地域によってツボが違うし、難しいですね、笑いって。けれど、「くだらない」と判断して切り捨ててはいけない価値だと感じています。

 

人間の、心からの楽しみは何か

 

 好きな歌を歌うことは楽しい。これはカラオケやコーラスで体験している人がたくさんいますね。自分が一緒に歌って幸せ。これを次はダンスで味わって欲しいと願っています。

 私は「バブリーダンス」というダンス映像をユーチューブに投稿しましたが、これが世界中に拡散され7900万回以上も再生されました。撮影したのは映像アマチュアの私で、踊っているのは日本の高校生。プロによる完璧な映像作品ではなく、たった2時間だけ借りることができた場所で、私が走り回って記録したものです。それがなぜ国を超えて喜んで頂けたのか。きっと理屈もなく、人間は体を使うダンスというものが好きだからだと思います。

 誰もが大変な毎日だけれど、こんなふうに人を楽しませる仕事も大切。若い人ができることは広がっているのではないでしょうか。(談)

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