トヨタ自動車のグループ企業が、トヨタ本体で約3年の契約期間を終えた期間従業員を、正社員に採用する動きが広がっている。国内生産能力の増強が一段落したトヨタでは、期間従業員から正社員への転身は「狭き門」。登用枠からあふれたトヨタ生産方式の経験者を「即戦力」として活用する構図が鮮明になってきた。
トヨタの期間従業員(9000人超)は6カ月以上働くと、正社員登用試験の受験資格を得る。07年度は過去最多の1250人が登用されたが、合格率は約3割に過ぎない。正社員への登用数そのものも08年度は前年度比350人減の900人に抑える計画で、新卒技術職採用を上回る規模で正社員登用を進めたトヨタの人事戦略は転機を迎えている。
一方、トヨタの急成長に対応して生産現場の人材拡充を進めるグループ企業の多くは、優秀な人材の不足に悩んでいる。
トヨタ本体の期間従業員の士気を高めつつ、優秀な人材をグループ内に囲い込む――。そんな一挙両得を狙ったのが、07年春から始めた人材紹介制度「ジョイン3」。トヨタで正規雇用の希望がかなわなかった期間従業員をグループ会社に送り込むものだ。この制度を使って、07年度はトヨタの元期間従業員150人がグループ企業の正社員になった。
トヨタ紡織は07年度、同制度で20人を正社員に採用。自社の期間従業員からも199人を正社員に登用したが、「トヨタのDNAを受け継いだ即戦力は魅力」(人材開発部)という。
部品物流のキムラユニティーも07年夏以降、21〜46歳の計30人を採用。バブル後の採用抑制で少ない30代社員を補充することで、社員のいびつな年齢構成をすぐに是正できる効果もあるというわけだ。