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「年収2割」自社商品買い メガネスーパー店長の叫び

(AERA:2008年2月25日号)

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 マックやコナカだけじゃない。店長はサービス残業当たり前。売れ行きが悪けりゃ、店の中の物を買う。もちろん、自腹。(AERA編集部・斉藤泰生)

    ◇

 《31回、43万350円》

 新潟県内の30代の店長が、顧客リストから抜き出した自分の購入金額を見せてくれた。店長になって1年4カ月の間に31回にわたって、自社商品を買い続けた総額だ。

 メガネ2本のほか、肩こりに効くとされるゲルマニウムのネックレス約6万円、自社ブランドの化粧品各種に1箱約3800円の黒ニンニクなどで、

 「手取り年収の2割近くは使っています」

 そう話す横から別の店長が口を挟んできた。

 「どこの店長もそれくらいの額は使っているんです。私は最高で年間約70万円分を自腹で買いました」

 全国約540店を展開するメガネチェーン業界2位のメガネスーパーで、年明けから労使関係がぎくしゃくしている。1月6日には新潟、11日に長野、15日に高知など各地で労働組合が結成され、連合も支援に回る。

 ◇閉店の条件「1万円」

 長い拘束時間。サービス残業。あげくに自社商品の買い取りを強要する。

 「有能な社員は辞め、新人も定着しない。販売力の低下で業績が悪くなると会社は店舗に責任を押しつける」

 労組結成の旗を揚げた新潟・上越インター店の上野剛店長(35)はそう訴える。

 労組によると、1日最低1万円の売り上げがないと店を閉められない。本社営業部から電話が入り、始末書や反省文などの提出を求められる。また、同業者の低価格化で売り上げが低迷し、数年前から化粧品や健康関連商品も扱い出したという。その売れ行きが悪いと、

 「電話で恫喝やパワーハラスメントが続くんです」(上野さん)

 その様子をある店長はメモに記している。

 「おまえのところは○○(商品名)がゼロだ。どーすんだ」

 「頑張って売ります」

 「頑張ってじゃねーんだよ。絶対なんだよ。わかってねーんか。(中略)絶対なんだな。よし、売れなかったらどうすんだ」

 「そう言われましても……」

 こんな「指導」を恐れるあまり、店長だけでなく店員も自社製品を買って売り上げに計上したり、夜7時半の閉店を延長してサービス残業をしたりしているという。

 30代の元社員は労働基準監督署に相談し、過去2年分の不払い残業代を会社に求めることを考えている。

 本社では、所属ごとの出勤簿にハンコを押すだけでタイムカードはなし。残業をする場合は、理由と時間を書いた残業申請を毎回所属長に出さないといけない。ある時、約1カ月間申請を出し続けたことがあったが、

 「うやむやにされました」

 不払い残業の請求額は200万円を超えそうだという。

 ◇会社は「社員の自主性」

 神奈川県小田原市に本社を置くメガネスーパーは1973年に創業した。直営方式で店舗を増やし、2004年にはジャスダックに上場した。創業者は現在の名誉会長で、その妻が社長、長男が副社長という同族企業だ。

 労組の訴えについて同社の佐藤進広報企画部長は、サービス残業の実態は「把握していない」と否定。自社商品の買い取りについては、

 「社員が自主的にやっている部分もあり、会社側は強制していない。労働組合との認識に食い違いがあるが、誠意を持って対応をしていきたい」

 とコメントしている。

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