ロンドンオリンピックで男子サッカーのU−23日本代表を44年ぶりのベスト4に導いた関塚隆監督(五輪終了後に退任)が、いかにして若い彼らのモチベーションを高め、問題点を修正し、勝利に導いたかを明かした本「見て、話して、ともに戦え」が2月25日、文藝春秋から発売された(1200円)。23歳以下の、社会でいえば、就活世代にあたる若者たちに関塚氏がどうアプローチしたのか。そして若者はどんな組織であればモチベーションを保ち続けられるのか。緻密な分析と経験に裏付けされた、若手育成論が展開されている。(就活朝日編集担当、橋本正人)
今の若者と自分たちを比較して関塚氏は「昔のように頭ごなしに『これをやれ』と言ってもなかなか動かない」という。それは「あらゆる情報が行き渡る世の中になり、子どもであっても専門的な知識を得られるようになった。若手の基礎知識や思考力は以前よりも格段に向上している。そのため、それが自分にとって有用だと理解するまでは本気になって取り組もうとしない」からだと分析する。「命じるだけでは動かない若者には、こちらの意図をしっかり理解させるしかない」。そのために一つ一つの練習の狙いを、はっきり伝えることが肝心だという。
なるほどと思ったのは、叱られた選手がふて腐れてしまった時の対応方法だ。関塚氏は、すぐに「こっちに怒っているのか?」と単刀直入に問いただすという。こちらが言ったことに納得できていないのでふて腐れているのか、あるいは叱られて落ち込んでいるだけなか。前者であれば、もう一度意見を言わせ、後者であれば、周囲に悪影響を与えないためにも、そのような態度を他人の前で見せることは控えさせるという。