「会社はそもそも人間がより幸せになるための単なる手段にすぎない」と語る冨山和彦氏
「会社はそもそも人間がより幸せになるための単なる手段にすぎない」。産業再生機構で多くの企業再生を成し遂げてきた冨山さんは、そう語る。会社のために働くのではなく、君自身のために精いっぱい仕事に飛び込んでいくべきだ、と。就職についての本質的な指摘を伺った。(11月27日付け朝日新聞・広告特集より)
〈株式会社経営共創基盤 代表取締役CEO 冨山和彦氏〉
■社会の作るシナリオが刷り込まれていないか
偏差値という、管理する側からは実に便利な方法が持ち込まれて久しいですが、私たちはみな人と比べることでしか判断ができない悪習慣に染まっています。第2次世界大戦後に生まれた団塊の世代以降、現在の学生に至るまでほとんどがそうですから、あたかも人と比較する評価が社会の常識のようになっているのです。
しかしそれは人との関係性のものさしであって、自分自身の充実ではない。親世代は大企業に勤めることができたとか、管理職の肩書きを得たなど、周囲と比較する関係性のヨロイを強化することに懸命でしたが、それは偶然にも時代が味方してくれただけです。どこかでそれに気付いていながら、我が子にもまた同じヨロイを着せようとしてはいないでしょうか。
そして学生であるあなたは、無批判なままその価値観を受け継ごうとしていないでしょうか。結論から言えば、家族や学校が「いいところに就職できた」と評価する就活を考え直したほうがいいということです。
私は多くの大企業が破綻する実情をこの目で見てきました。その経験から、この先30年も40年も絶対に安心できる就職先などないことを知っています。リストラも企業合併もある。一つの勤務先で築いた地位は簡単に消えていきます。今、日本の企業が破綻していく現状を見ていると、実はエリートと呼ばれてきた人々の仕事力が空洞だったと思えるのです。自分自身の本当の力を試される修羅場をくぐらなかったからでしょう。つまり、必要なのは若い時代に身に付けた、負けない仕事の力なのです。