桂都丸は京都・南座の記念独演会で「子ほめ」「はてなの茶碗」「らくだ」の3席をかけた=2月24日、京都市 山崎虎之助撮影
都丸が入門した昭和52(1977)年1月当時、朝丸だったざこばはまだ29歳、都丸は通い弟子として修業を始めました。初めてつけてもらったネタは「子ほめ」。稽古(けいこ)中、「こんなにおもろい噺(はなし)はない」と、ざこばと腹を抱えて笑った思い出があるんやそうです。
あの噺はようできてる。ほんまに仰山(ぎょうさん)の落語家が手掛けてきましたからな。都丸はこのネタを2月24日にあった京都・南座での30周年記念の独演会でもかけたんです。師匠から最初につけてもらったこの噺の偉大さを知ってほしいという思いもあって、選んだんやそうな。
私も彼に稽古をつけているけど、初めのころ「くちなし」という小咄(こばなし)をなかなか覚えよらなんだ。私はイライラしてキセルをたたくんやけど、段々荒くなっていったみたいやな。「余りの緊張で口から言葉が出てこなかった」と、都丸は振り返ります。その後、「地獄八景亡者戯」の稽古では閻魔(えんま)の顔をするところで「お前は普通の顔でええ。きばらんでも充分(じゅうぶん)怖い」と言いました。ほめ言葉やで。
「百年目」も私がいろいろ直しましたが、都丸は「自分のは百年目でなく、七十年目ぐらい。まだまだです」。確かに、あの噺はだれでもやれるもんやない。大ネタと言われる落語は演じる側がある程度人間ができてこんとやられへん。それぞれのニンが大切です。ひょっとしたら、「百年目」は一番難しい噺かもしれませんな。私は若い時からやってきたけど、少しずつ変わってきた。ある時、ふと自然にやれるようになったと思ったことがある。50歳は過ぎていたでしょうな。今から考えてみれば、あれが噺家として一段上がった時やったのかもしれん。
都丸は将来、「百年目」をきっちりやれるようになるのを目標にしている。最近は桂三枝君に創作落語の「鯛(たい)」や「宿題」なんかを稽古してもろうて、ネタの幅を広げているようです。南座でトリで演じた「らくだ」のような酒の噺も増やしたいと意気込んでいます。「もう弟子やない、ライバルや」と言うたというざこばとの親子会もあるみたいや。ほんまに楽しみやな。
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