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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>関西>関西を楽しむ>魅知との遭遇> 記事 (18)ロブスターの装飾棺桶 国立民族学博物館 大阪府吹田市あの世の旅 にぎやかし どうですか、このロブスターの立体。木製で、長さは2メートルを超す。触角や脚、尾などがペンキで色鮮やかに塗られている。背中のふたを開けると、中は赤い布を張った空間である。
実はこれ、西アフリカ・ガーナの装飾棺桶(かんおけ)で、大阪府吹田市の国立民族学博物館(民博)の常設展示場にある。このほか、一般公開はしていないが、民博の収蔵庫にはイカ、ヒョウ、ライオン、飛行機、ビール瓶をかたどったものもある。 装飾棺桶作りは、ガーナの首都アクラの東郊にあるテシという町の一帯だけでみられる風習である。同館准教授で、アフリカの同時代美術が専門の川口幸也さんは「現地の人々は葬儀の際、魚、鳥、野菜、自動車、飛行機など、死者の生前の職業や好物などにちなむデザインの棺(ひつぎ)を注文し、冥界へ送り出すのです」。 棺の形がロブスターやイカなら漁師を、ヒョウやライオンならハンターを、飛行機なら世界中を飛び回ったビジネスマンを弔うためらしい。じゃあ、ビール瓶は? 酒場を経営していたか、酒好きだった人への追悼の意味とみられる。 こうした棺桶が作られ始めたのは第2次大戦後のこと。テシの首長が鷲(わし)をかたどった輿(こし)に乗るのを見て感激した近隣の村長が、カカオの実の形をした輿を注文した。しかし、村長は完成を見ることなく死去。そこで、人々は輿に村長を入れて埋葬した。それを機に、様々な形の棺桶が作られるようになったという。1989年には、パリのポンピドーセンターの「大地の魔術師」展で紹介され、アフリカの同時代アートとして一躍、有名になった。民博は96年から収集を始めた。 だが、ガーナではあくまでも棺桶として使われていると川口さんは言う。注文から1、2週間で完成する。暑い国なので、遺体は冷凍装置のついた安置所で保管し、葬儀の時、棺におさめ、土葬するそうだ。 ところで、ユニークなデザインの葬送用具といえば思い出すのが、日本の霊柩車(れいきゅうしゃ)である。荷台部分が伝統的な和風建築のスタイルで、屋根に唐破風(からはふ)がかけられた、いわゆる宮型霊柩車は大正時代に大阪で作られたと、井上章一・国際日本文化研究センター教授は著書『霊柩車の誕生』(朝日選書)で説く。世界的にみて、大変珍しいデザインの霊柩車を生んだ大阪に、これもまた珍しい葬送用具であるガーナの装飾棺桶があるのは何かの縁だろうか。 PR情報魅知との遭遇
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