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ここから本文エリア 現在位置:asahi.com>関西>関西を楽しむ>魅知との遭遇> 記事 (21)KOBEとんぼ玉ミュージアム魔力 閉じこめた小宇宙 色とりどりの花や虫の形、幾何学模様を封印した直径3センチほどの小宇宙の群れが、ほの暗い明かりに輝く。魂を吸い込まれそうなこれらのガラスは、ひもを通す穴のある「とんぼ玉」。ここは神戸・三宮の「KOBEとんぼ玉ミュージアム」である。
約40坪に展示室や体験工房を備えた私設美術館で、宮本恭庸(きょうのぶ)館長(43)が05年に開いた。展示室の芸術品から売店の廉価品まで、約3千点のほとんどが売り物。とんぼ玉のほか、ガラスの彫像、置物、器まで、内外の作家約200人の作品だ。現代作家のとんぼ玉を主体にした美術館は全国でここだけ。展示室の一角には、国内有数の古代ガラス収集家である故・羽原明徳氏のコレクションの一部も飾られ、歴史的変遷もわかる。 ガラス工芸の歴史に詳しい岡山市立オリエント美術館の谷一尚(たにいちたかし)館長によると、日本で昆虫の複眼に見立てて「とんぼ玉」と呼ばれるようになったのは江戸時代。広義ではガラス玉全般を、狭義では目玉ふうの模様がある穴あきの玉を指す。後者は紀元前1400〜1500年のエジプトにすでに存在。メソポタミアを源流に地中海沿岸で発達し、紀元前5世紀には中国に達した。日本では6世紀の古墳から見つかった。 「もともとは呪術の装飾品だったようです。魔物を追い払うには鋭くにらみ返すことが重要とされた。だから目玉模様なのです」と谷一さん。魂を抜かれそうだと感じるのもむべなるかな。その「魔力」は別の形でも発揮された。地中海沿岸では大航海時代あたりから、欧州がアフリカから金銀や奴隷を収奪する対価になったという。 ミュージアムの体験工房で、とんぼ玉作りに挑んだ。ガラス棒をバーナーの炎で熱し、耐火粘土を塗った金属棒に巻き取り球状にする。模様となるガラスの部品をピンセットで埋め、再度熱して境目をなくす。ここまでが15分。黒曜石の砂に埋めて1時間冷まし、棒から外せば出来上がり。一見それらしい作品が、意外に簡単にできる。 手工芸品の販売店を経営していた宮本館長は、買うだけでなく、作る、学ぶ、見るも含めた複合的な楽しみを提供したいとミュージアムを開いた。とんぼ玉に目をつけたのは素材のハンディがないから。「良い土が必要な陶芸と違い、プロも初心者も同じガラス棒から出発する。小さな玉に無限の可能性が秘められている」。展示室のとんぼ玉は1万円台が中心で高くても5万円程度と、美術品としては価格も手ごろだ。 手軽なのに奥深い。美しくて恐ろしい。人がとんぼ玉に魅せられてきたのは、その二面性ゆえかも知れない。 PR情報魅知との遭遇
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