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水と再生 築く未来 朝日新聞グループビル建て替え

2007年04月02日

 中之島は、東西に細長い中州で、北に堂島川、南に土佐堀川が流れる。京セラドーム大阪の14個分の広さに相当する約50ヘクタールの土地に、行政機関や企業、文化施設が集まり、「大阪の心臓部」とも言える都市機能を備えている。

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 大阪の目抜き通り、御堂筋の東側には大阪市役所や大阪市中央公会堂がある。御堂筋から西へ四つ橋筋、なにわ筋へと進めば、日本銀行大阪支店や大手企業の高層ビルの列――。さらにその西側には大阪国際会議場などの巨大施設が続く。大阪市立近代美術館の建設構想もある。

 にぎわい 中之島に創出

 さまざまな建造物がモザイクを織りなす中之島地区。その現在を語るキーワードは「再開発」だ。

 02年に都市再生緊急整備地域に指定され、大型事業には容積率や建ぺい率などが大幅に緩和された。地上41階、高さ195メートルの関西電力本店ビルが04年12月にオープンするなど、オフィスビルの建設が相次ぐ。朝日新聞グループの二つの超高層ビルも、四つ橋筋を挟んでツインタワーとして並び立つことになる。

 08年度中に予定される京阪中之島線の開業も、様変わりする中之島を象徴する。天満橋駅で京阪本線と分かれ、中之島の地下を東西2.9キロ貫く「動脈」に、なにわ橋、大江橋、渡辺橋、中之島(大阪国際会議場)の各駅ができる。毎日約14万人の乗り降りが見込まれる。渡辺橋駅は、中之島地下街を通じて大阪市営地下鉄四つ橋線の肥後橋駅とつながり、新たなにぎわいをつくりだす。

 「再開発」が中之島の現在なら、その未来はどうなるのか。将来像を描く動きもある。

 拠点を置く企業29社でつくる「中之島まちみらい協議会」(座長=秋山喜久・関西経済連合会会長)は、「水都・大阪」の復活を中之島で実現する構想を温めている。中之島の対岸にある「八軒家浜(はっけんやはま)」を拠点に、中之島周辺に遊覧船を運航させる。張り巡らされた水路を多くの船が行き来した江戸期の風情と重なる。

 朝日グループの新ビルは、水辺の景観になじむよう設計し、読者との接点を深めるホールの設置も検討する。緑もふんだんに採り入れる。

 川沿いの桜並木の遊歩道を散策すると、船着き場に出入りする遊覧船が見える――。「水と親しむ都市空間」が実現へ向け動き出す。

 ■建築家・安藤忠雄さん 魂こめて まち咲かせよう

写真建築家の安藤忠雄さん=大阪市北区で

 中之島の象徴、朝日新聞グループのビルの建て替え構想は、その姿に慣れ親しんだ者として「時代の波」を感じる。周辺のビルも次々に高層化している。その中之島から、朝日新聞は日本へ、世界へと、情報を発信し続けてきた。

 朝日新聞ビルは外壁の曲面に特色があり、名建築だと思っている。フェスティバルホールは高い志で建てられた芸術性の高いホールだ。指揮者の朝比奈隆、カラヤン、ストラビンスキーらが舞台に立ち、心にしみる音を響かせた。子どものころ、フェスティバルホールに行くとワクワクしたものだ。

 建物の老朽化は避けて通れない。建て替えにあたっては、大阪の都心部の新しいシンボルとなるような「魂」のこもったものを望みたい。

 再開発ビル群は景観、精神両面で大阪の中心になる。市民の期待も大きい。それを次代に引き継ぎ、これからの1世紀、朝日新聞グループの拠点として中之島の新しいランドマークになってほしい。

 中之島は江戸時代から栄え、明治時代以降も経済、文化の中心だった。いわば大阪人の「心のふるさと」だ。

 私が実行委員長を務める「桜の会・平成の通り抜け実行委員会」が、中之島一帯で桜の植樹運動を展開しているのも、「市民の手で桜の新名所を」という気持ちからだ。04年末からこれまでに、1口1万円の募金に4万4千人近い人たちが応じてくれた。

 中之島は、新線工事などで大きく変わろうとしている。東端の剣先地区に大噴水を建設する構想も進んでいる。放物線状の夢の懸け橋を描く、スケールの大きなものだ。

 私にも「夢」ができた。再開発ビル群には桜並木を採用してもらいたい。実現すれば、周辺の桜並木とつながり、大阪人の「心の森」になるだろう。(聞き手 編集委員・林梓生)

 ■佐藤茂雄・京阪電鉄社長 新線で京都の中心と直結

 超高層ビル建設の話を聞き、中国の思想家、荘子の「図南鵬翼(となんほうよく)」の言葉を思い出した。「大志を抱いて一大事業に乗り出す」。中之島周辺で進む再開発に波及効果は絶大で、大きな志を感じる。

 京阪中之島線の開業で、京都の四条、三条などの中心街と直結するのが中之島の強みになる。新しいビルの地下と堂島地下街がつながれば、JR大阪駅から中之島への人の流れもスムーズになる。

 再開発した中之島が、文化の発信地として、観光地として魅力を増せば、多くの人を呼ぶことができるだろう。そのためにも、リニューアルするフェスティバルホールでは、様々なジャンルの催しを年中開いてもらいたい。大勢の観客が集まれば、大阪国際会議場などのある中之島西側へも人が繰り出すだろう。

 ■奥田務・大丸会長 いこいの場作り 心がけて

 中之島周辺では高層マンションの建設が進んでおり、中高年が購買層の中心と聞く。そうなると、これからの中之島に求められるのは、質の高い文化事業を軸にした、ナイトライフの充実だ。

 リニューアルするフェスティバルホールには、大阪のナイトライフを担う一大拠点になってほしい。会員制度や割引サービスなども充実させて、ファンを増やす努力を続けてほしい。

 オフィスビルばかりだった中之島に、美術館や大学などが整備されていく。飲食店に数多く出店してもらうなど、「いこいの場」としての街づくりも大切だ。人が集まり、語り合う場になれば、中之島の魅力はぐっと増す。

 フェスティバルホールが入る新しいビルには、人と人とが心を通わせる場としても期待したい。

 ■秋山喜久・関経連会長 人の流れ 東西によびこむ

 大阪で人が集まる場所は、キタとミナミの繁華街と、その間を結ぶ御堂筋周辺で、「鉄アレイ」のような形だと言われてきた。中之島再開発は、貧弱だった東西の都市空間に人の流れをよびこむ空間づくりとして意義が大きい。新しいフェスティバルホールも多くの人を引きつけ、にぎわいに弾みをつけるだろう。

 この夏からは、大阪・梅田北ヤードの開発も本格化する。先端技術や新しい価値を生み出す北ヤードが「未来都市」なら、中之島の再開発は、大阪のかつての姿だった「水都」の再生につながる。

 大阪の未来と過去を象徴する二つの都市空間が生まれることになる。朝日新聞グループの超高層ビルは、こうした歴史の重みを感じさせてほしい。新生・中之島の象徴になるよう期待している。

 ■関淳一・大阪市長 一帯は交通の結接点に

 大阪市立大の学生だった1960年、まだ新しかったフェスティバルホールの舞台に立ったことがある。西日本の医大生が集う体育大会の開会式であいさつした。「すごく広い」と感じた記憶がある。大阪国際フェスティバルにもたびたび行かせてもらっている。

 新装されるフェスティバルホールではこれまで以上に、本格的なオペラ上演が可能と聞いている。大阪にオペラハウスがないことは画竜点睛(がりょうてんせい)を欠く、と指摘され続けてきたので、市にとってもありがたい施設だ。

 大阪市にとって、御堂筋が南北の軸なら、中之島はそれと直角に交差する東西の軸だ。京阪中之島線が開通し、地下鉄四つ橋線が北に延伸すれば、一帯は交通の結節点にもなる。多くの市民が集う、楽しいエリアに育ってほしい。

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