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「ボストン美術館所蔵 肉筆浮世絵展」に行ってきました!

 菱川師宣、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川広重……江戸時代に活躍した代表的な絵師たちが描いた肉筆の浮世絵が、アメリカ・ボストン美術館からやってきました。世界最大級の浮世絵コレクションから選りすぐった約80点を世界に先駆けて公開する「江戸の誘惑展」が神戸市立博物館で開催しました。

  神戸市立博物館のホームページ 


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なつこ

なつこ 年齢不詳のOL兼なんちゃって主婦。京都に住む。ショッピングが大好きで、“一点もの”“限定もの”にめっぽう弱い。学生時代過ごした神戸に行ってワクワクしている。

関平

関平 時代小説をこよなく愛するサラリーマン。休日は小説に登場する土地を訪ね歩くのが楽しみ。池波正太郎「剣客商売」に登場する男装の麗人佐々木三冬のファン。


オーダーメイド、それが肉筆浮世絵

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展覧会場の受付。写真撮影はここまで

なつこ

 浮世絵って版画だとばかり思っていたけど、出品作はぜんぶ肉筆なんですね。



関平

 記念切手で有名な菱川師宣の「見返り美人」だって肉筆だよ。浮世絵は版画によって大量生産が可能になったことで普及したわけだが、肉筆浮世絵は注文に応じて作られた特注品、つまりオーダーメイドの作品なんだよ。だから、裕福な武家や豪商が贔屓(ひいき)の遊女をモデルに描かせたなんてのも多い。



なつこ

 てことは、世界に一点しかないレアものなんだ。でも、そんな貴重なものがどうして日本じゃなくアメリカのボストン美術館にあるんですか。



関平

 明治時代に来日したアメリカ人医師のウィリアム・ビゲロー(1850−1926)が、日本での収集品をそっくりボストン美術館に寄贈したんだ。同美術館は世界最大級の浮世絵コレクションとして有名だけど、肉筆浮世絵は約700点あり、その大半がビゲローが遺したものだそうだ。




日本びいき、ビゲローの遺産

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ウィリアム・ビゲロー氏

なつこ

 一点ものの肉筆浮世絵が700点も。すごいお金持なんですね。




関平

 貿易商の家系に生まれた金持ちだったのは確かだけど、廃仏毀釈の風潮のなかで浮世絵への評価も下がっていたから、わりと容易に買い集めることができたらしいよ。だけど、この人の日本びいきは生半可じゃない。貧しい画家を援助したり、古社寺の宝物保存のために融資したり、さらに大津・三井寺の法明院で仏門に入ったくらいだ。



なつこ

 今回が日本初公開の作品が大半ですね。



関平

 ビゲローの遺言で門外不出だったんだ。96年から日本人研究者が現地調査に入って初めてその全貌が明らかになったんだが、類まれな作品の数々に驚きの連続だったらしい。




日本人が忘れてしまった美意識

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葛飾北斎「鳳凰図屏風」 Photography (c) 2006 Museum of Fine Arts, Boston. All rights reserved.

なつこ

 これがこの展覧会の呼び物のひとつ、葛飾北斎の「鳳凰図屏風」ですね。手塚治虫の「火の鳥」みたい…。



関平

 枕屏風といって、枕元に置く風除けだね。肉筆画は、版画と違って顔料系の絵の具を使っているから発色が鮮やかだろう。



なつこ

 鮮やか過ぎて引き込まれそうで少し怖いです。こんなの枕元にあったら、気になってゆっくり眠れないですよ。



関平

 わび・さびだけが日本伝統の文化じゃないよね。江戸中期の絵師、伊藤若冲(いとう・じゃくちゅう)や曾我蕭白(そが・しょうはく)なども本当にカラフル。日本人が置き忘れてしまった美意識を再認識させられるよ。



楽しみ方、ひとそれぞれ

なつこ

 長いこと立ち止まって何見てるんですか?



関平

 「新吉原」の大通り・仲の町のにぎわいを描いた宮川長春の「吉原風俗図屏風」なんだけどね、これが面白いんだ。本を担いでいるのが貸本屋、遊女と話し込んでいる二本差しの侍、これは両替商かな。何人登場してるか数えてみたんだけど、100人ぐらいいるな。一人ひとりにストーリーがあって退屈しない。君は美人画を熱心に見てたね。



なつこ

 白い肌に鼻筋のとおった顔。なんともいえない色気と気品がありますよね。思わず見とれてしまいました。でも何より興味があったのは着物ですね。柄、色、どれもおしゃれですよね。着物着るときの参考にしようと思って。



関平

 なるほど、僕には真似できない楽しみ方だな。




ビゲローさんに改めて感謝

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鈴木春信「隅田河畔春遊図」 Photography (c) 2006 Museum of Fine Arts, Boston. All rights reserved.

なつこ

 わっ、大きい。のぼりみたいだけど畳1枚分はあるかな。朱色だけなのに力強くて、迫力満点ですね。



関平

 北斎の「朱鍾馗図幟」だね。縦230センチを超す麻地に鍾馗様が描かれている。魔除けとして鯉のぼりと一緒に軒先に掲げられたものだそうだ。実は、日用品に描かれた北斎の作品が残っているのは極めてまれなんだ。竜虎を描いた提灯絵も珍しい。この展覧会のために復元されたんだが、北斎が描いた提灯なんて最高の贅沢だ。



なつこ

 これは鈴木春信の「隅田河畔春遊図」ですね。春の隅田川で花を摘む女性たちがなんとも可憐ですね。春信は当時ものすごく人気があったんですよね。



関平

 春信の肉筆画は世界で数点しか現存していないそうだ。この機会を逃したらもう二度とお目にかかれないかもしれない正真正銘のレアものだね。ビゲローさんに感謝だよ。




展覧会ミニ情報

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柳家花緑さん

なつこ

 初めて音声ガイド(500円)を利用しました。落語若手ホープの柳家花緑が浮世絵を語ってくれます。落語に疎い私は知らなかったんですが、「若手一押し。追っかけもいる」くらいとか。作品ごとに解説してくれるんですが、

 「季節は春。ここは江戸っこたちに大人気のウォーターフロント=向島。ちょうど花も見所とばかりにぎわってます」

 という調子で、まるで寄席にいるかような雰囲気。知らずしらず江戸の華やかな世界に引き込まれていきます。音声ガイドおすすめです。大げさじゃなく5倍楽しめます。

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肉筆浮世絵のマグネット。和のテイストで決めてみたら…

 おみやげコーナーには、今回展示されている肉筆浮世絵のマグネットや一筆せんが並んでいました。北斎の「鳳凰図屏風」もありますよ。浮世絵の小物は粋ですね。持っていると目を引くこと間違いなしです。

ついでにちょっと神戸観光…

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旧居留地のシンボル「十五番館」

なつこ

 神戸市立博物館は洋風の建物が並ぶ旧居留地の一角にあり、西隣に旧居留地のシンボル「十五番館」があります。阪神大震災で倒壊しがれきの山になってしまいましたが、元通りに復元され、今は一階はレストラン、二階はカフェになっており、展示を見終わった後に休憩するのにおすすめ。肉筆浮世絵展に合わせて「江戸の誘惑ランチ」というメニューがあり、今回はそれをいただきました。ハヤシライスも看板メニューらしいです。

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神戸・南京町「エスト・ローヤル」のエクレア

 博物館から徒歩約5分。少し足を伸ばすと南京町があります。南京町東の「長安門」をくぐると左右に屋台がずらり。美味しそうな匂いで立ち止まらずにはいれなくなります。好きな飲茶や麺を食べた後はやっぱりスイーツ。「エスト・ローヤル」というこじんまりとしたお店ですが、エクレアがオススメ。一口かじってみてびっくり。硬いんです。「シュー・シュルプリーズ」というフランス語で「びっくり!」という名がつけられているそうです。

 やっぱり神戸はいいなあ。おしゃれで洗練された雰囲気があります。百貨店の大丸は京都にも大阪にもあるんだけど、神戸はちょっと違います。ということで大丸に寄っていきますのでサヨナラ〜。

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