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児童養護施設(取材を終えて) 熱意頼み ケア限界

ルポ虐待 第2部

 6月13日から連載した「ルポ虐待 児童養護施設」の取材で、私は3月から4カ月間、ある施設に通った。そこで見たのは、1人で2役も3役もこなして走り回る職員の姿だった。子どもらのケアを職員の熱意に頼るのは限界がある、と感じた。(小河雅臣)

図  

子の付き添い 24時間態勢

 約6割の子の入所理由は「保護者からの虐待」だ。幼いうちに心身に負った深い傷は、容易には癒えない。自分に自信が持てないのか、生活態度が投げやりで、職員の言葉を素直に受け入れられない子がいた。わざと怒られることをして、職員が親身になってくれるかを試すような姿も見かけた。

 中3の男子は、小学生の頭にゴムボールをぶつけて女性職員(27)に注意されると、ふて腐れて壁に向けてボールをけり始めた。男子と職員がぶつかるのではないか。私は冷や冷やして見ていた。

 職員は30分間、黙って見守った。それから、男子の得意なパズルをすっと差し出して心を解きほぐした。子どもがうまく表現できない気持ちを察し、粘り強く導く。「それが職員のやりがいでもあるんです」。施設長はそう言った。

 しかし、昼夜、平日休日を問わず子どもらに付き添う大変さは、想像以上だ。家族のように見守り、緊急事態にも備えるため、施設に住み込む職員もいる。ある男性職員(45)も、自分の息子と娘を施設の子たちと一緒に育てた。一家4人でだんらんした記憶はほとんどない。「自分の子たちには、寂しい思いをさせたかもしれません」と話した。

 きつい仕事ゆえ、辞める職員も多いという。

施設満員 足りぬ職員

 児童養護施設は、戦災孤児の衣食住を保障する場として始まった。全国の総定員約3万4千人に対する入所者の割合は、04年度に9割を超えた。どこもほぼ満員の状態だ。一方、「子ども6人に対し1人」という職員配置基準は30年近く変わっていない。虐待を受けた子が増え、丁寧なケアが求められるようになり、子どもが家庭に戻れるよう保護者との関係づくりまで担うのに、である。

 ベテラン職員は「配置基準を見直さない限り、根本的な解決にはならない」と訴えた。

 子どもたちの暮らしぶりや心情、職員の働きへの理解が進み、施設を取り巻く状況が改善されることを願う。

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