ここから本文エリア

現在位置:asahi.com>関西>ルポ虐待> 記事

児童養護施設(14) 時にイライラ 先生も

ルポ虐待 第2部

 幼児や小学生担当の職員は、1人で4、5人を受け持つ。宿直は週1回。週休2日だが、休みの日を使って子どもたちと外出する職員もいる。

写真泣きじゃくる男の子に、職員が優しく語りかけた

 昨年5月のことだ。小2の男の子が、「宿題やりたない」とぐずりだした。アキ先生(29)が「ちゃんとやりや」と声をかけると、「やらへん」と壁をけり出した。

 「じゃあ、やらんでええ」。少し語気を強めると、「やるわ。やったらええんやろ」。男児は興奮して、アキ先生をたたいたりけったりしてきた。

 「なんでたたくの!」。一瞬、冷静さを失いかけた。

 はっとして、男の子から離れた。

 虐待が原因で、精神的に不安定な子は多い。感情をどう表現していいかわからず、大人に向かってくる子もいる。職員になって5年目。理解しているつもりでも、時にはイライラして怒鳴りたくなる。「私には向いていない」。アキ先生は、自己嫌悪感をぬぐい切れずにいた。

 今年春、施設長に辞意を伝えた。

 「いつも肩に力が入っているね。燃え尽きてしまうぞ。ゆっくりでええんや」。3時間ほど話し合った。

 母親にはなれない。でも、子どもたちが少しでも安心して暮らせる手助けならできるかもしれない。この仕事をしばらく続けてみようと思った。

 6月上旬。十数人の子どもを連れて、近くの公園でバーベキューをした。子どもたちのはしゃぐ姿を見て、アキ先生もうれしくなった。

 「先生、また一緒に来よな」。帰り際、男の子が振り返った。(文中仮名)

 ◆体験・ご意見 お寄せください。児童虐待をめぐる体験や連載への意見をお寄せ下さい。〒530・8211 朝日新聞大阪本社虐待問題取材班へ。ファクス(06・6201・3958)、メール(o-syakai2@asahi.com)。住所、氏名、電話番号を。

このページのトップに戻る