長谷寺の本尊、十一面観音菩薩立像
「源氏物語」や「枕草子」などの古典にも登場する長谷寺は、寺伝では686年の創建という。奈良と伊勢を結ぶ街道を望む山腹に諸堂が建つ。四季を通じて花を楽しめる寺としても知られ、特に150種7千株という牡丹(ぼたん)が有名だ。
門前町を抜けて仁王門をくぐり、登廊(のぼりろう)と呼ばれる屋根付きの399段の緩やかな石段を上ると、間口約26メートル、奥行き約27メートルもある巨大な本堂にたどり着く。創建以来、何度かの火災に遭い、現在の建物は1650年に完成した。山の斜面に舞台を張り出すように設けた礼堂と、本尊の十一面観音菩薩(ぼさつ)立像を安置する正堂からなり、04年に国宝に指定された。
礼堂に入り本尊を拝む。上半身しか見えないが、その巨大さにまず驚く。木造で高さは約10メートル。1538年に造られたのもで、重要文化財に指定されている。その表情は威厳をたたえ慈悲深さが伝わってくる。左手にハスの花が入った水瓶(すいびょう)、右手に錫杖(しゃくじょう)を持つ独特の姿は「長谷寺式」と呼ばれ、観音と地蔵の霊験を与える菩薩として信仰を集めている。
本尊はいつでも拝むことができるが、10月から12月にかけては、普段は入ることができない正堂に入り本尊を仰ぎ見ることができるという。小野塚幾澄・長谷寺化主(住職)は「この特別拝観では、観音様のおみ足に触れていただくことができます。どうぞこの機会に、得難いご縁を結んで頂ければと思います」と語る。(長谷川千尋)
長谷寺(奈良県桜井市初瀬731―1 電話07444・7・7001) 近鉄長谷寺駅下車、徒歩15分。
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