三井寺観音堂の御前立=大津市園城寺町
正式名称は長等山(ながらさん)園城寺(おんじょうじ)だが、三井寺(みいでら)の名で親しまれる。古来、修験道が盛んで、この寺の僧、行尊と覚忠による平安後期の巡礼が、記録に残る最古の西国三十三所巡礼という。
天智天皇が置いた大津宮にほど近いこの地に、その孫、与多王が686年に創建したと伝わる。9世紀の第5代天台座主・円珍が再興した。が、後に比叡山との対立、抗争が激化し、平安・鎌倉時代にたびたび延暦寺の僧による焼き打ちにあった。
広大な寺域の南端に札所の観音堂がある。ふもとから約170段の石段を上がると目の前に広がるのは琵琶湖の風景。寺内に弁慶の引きずり鐘、三井の晩鐘など見どころは多いが、景色はここが一番だ。
観音堂は1686年に火災で焼失、3年後に再建された。難を逃れた本尊の如意輪観音坐(ざ)像(重要文化財)は6本の腕をもち、ふっくらと優しい顔立ちだ。10世紀末の作とみられる。開帳は33年に1度だけ。ふだんは御前立を拝む。堂内には江戸時代のにぎやかなご開帳を描いた絵もある。「当時は、お伊勢参りのような感覚だったようですね」と福家俊彦執事。
結縁開帳に先がけ、11月1日から12月14日まで大阪市立美術館で開かれる「国宝・三井寺展」で公開される(その後、東京、福岡へも巡回)。円珍が唐から帰国して1150年を記念した催しで、ほかにも黄不動尊、円珍を彫った御骨(おこつ)大師、中尊大師の2体、新羅(しんら)明神坐像(いずれも国宝)など名宝がそろう。(佐藤千晴)
【開帳期間】09年10月3日〜11月30日、10年3月17日〜4月18日
三井寺(大津市園城寺町246 電話077・522・2238) 京阪石山坂本線三井寺駅下車、徒歩10分。
全33寺院の本尊の公開日程などは「西国三十三所札所会」のホームページ(http://www.saikoku33.gr.jp/)で。