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合併でも電話は「市外」 120地域、統一進まず

2008年6月7日

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 「平成の大合併」の結果として、ひとつの市や町に電話の市外局番が複数存在するケースが急増している。総務省によると現在約120例あり、多くは同じ市内、町内で話すのに市外通話料金がかかっている。多くの自治体は市外局番と通話料の統一を望んでいるが、実現には高いハードルがある。

 05〜07年に周辺4町を編入合併した岡山市は、旧市域で使われてきた「086」に加え「0867」「08636」と三つの市外局番が併存し、統一に向けた検討を進めている。

 NTTの市内通話料金は3分8.5円。だが、合併した旧建部町(0867)や旧灘崎町(08636)と旧市域との通話には、市外局番をつける必要があるうえ3分20円の市外料金がかかる。市外局番がもともと「086」の旧瀬戸町と旧灘崎町の一部地域も同様だ。旧市域の実家によく電話する旧灘崎町に住む主婦(31)は「せっかく同じ市になったのだから安く話せるようにしてほしい」と話す。

 市外局番と通話料を統一するには、自治体が住民らの合意書を添えた要望書を総務省とNTTに提出▽NTTなど通信事業者による技術的な検討▽総務省による局番変更の告示――といった手続きがいる。

 ところが、多くの自治体は、要望書提出の前で苦労している。岡山市の担当者は「地域によっては統一すると基本料金が値上げになる、という課題がある」と説明する。

 市内料金で通話できる範囲としてNTTが設定している「単位料金区域(MA)」。市外局番のエリアとほぼ一致しているが、MAは1〜3級局に分類され、加入者数の多いMAほどダイヤル回線の基本料金が高く設定されている。岡山市の場合、MAを統一すると、旧町の基本料金が現行の月1450円から100円値上げされる見通しで、担当者は「利用状況によっては負担増になる住民もいる」と悩む。

 たとえ住民合意が得られても、通信事業者の料金計算システムの変更に伴う設備改修などのコストが大きくて実現しない場合もあるという。

 ハードルは高く、合併が本格化した99年度以降、市外局番や通話料の統一を果たしたのは14市=表=だけだ。二つあった市外局番を07年4月に「053」に統一できた浜松市は、町内会で統一の利便性の説明を重ね、同意を得た。担当者は「新市の一体感が増した」と話す。

 もっとも、同じ市や町に複数の市外局番やMAが併存する現象は「古くて新しい問題」だ。NTTによると、MAは「昭和の大合併」後の1962年、市町村境や生活圏・経済圏を考慮して設定された。その時点ですでに自治体と完全に一致するわけではなかった。市町村境との不一致を抱えたMAは02年度末で、合併の有無を問わず計約180区域あった。

 全国市長会は05年と07年の2度、合併自治体の市外局番とMAの統一推進と、障害となる料金制度の見直しをNTTに働きかけるよう総務省に要望した。だが同省は「不当に利用者を差別したり、業者間の競争を妨げたりしない限り、料金設定を指導することはない」との立場。NTTも「今のところ制度を変える予定はない」としている。(宮武努)

 〈単位料金区域(MA)〉 3分8.5円(税別)の市内通話料金で通話できる区域。MAはメッセージエリアの略。今年4月現在、全国に562区域が存在する。おおむねMAごとに市外局番が割り当てられているが、複数のMAで一つの市外局番を共有したり、1MA内に複数の市外局番が併存したりするケースもある。

     ◇

 ■合併後に市外局番や通話料金を統一した14市(※は料金のみの統一、市外局番は元々一致)

 【05年】※新潟県佐渡市、茨城県日立市【06年】北海道函館市、千葉県成田市【07年】静岡市、福井市、浜松市、愛知県豊田市、※栃木県大田原市、※熊本県天草市、※長野県佐久市【08年】石川県白山市、山口県下関市、岡山県赤磐市

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