ナカちゃん=2006年5月30日、徳島県阿南市の那賀川
徳島県阿南市の那賀川にすみ着いて人気者になったアゴヒゲアザラシの「ナカちゃん」と、地元の小学生との交流を描いた小説「ナカちゃん 君と」が自費出版された。同市立平島小学校の島村孝教諭(47)が、実話をベースに著した。児童たちがナカちゃんとのふれあいを通して成長する姿を描いている。
平島小から歩いて5分ほどの那賀川の中州に、ナカちゃんが最初に姿を見せたのは05年11月。愛敬のあるしぐさや表情に県内外から見物客が訪れた。06年3月には同市の特別名誉市民第1号となったが、同年8月に河口付近で死んでいるのが見つかった。
06年当時の同小4年生72人は、総合学習でアザラシの生態などを調べた。児童らの作文や詩にもナカちゃんがたびたび登場するようになった。死後も、哀悼の気持ちを込めて作った歌のCDを自主制作して販売。収益金で買った車いす3台を市社会福祉協議会に寄付した。
当時の担任だった島村教諭が「こうした事実を書き残そう」と執筆を思い立った。小説のサブタイトルは「不登校109日からの復活 奇跡の物語」。不登校だった4年生男児が、ナカちゃんとの交流の中で自分の居場所を見つけるストーリーで、ナカちゃんとの話題を級友とするのが楽しみで一日も休まずに学校へ通うようになった「邂逅(かいこう)」▽ナカちゃんが暑さで弱りだし、事故で亡くなった「別離」▽「ナカちゃん 君は」という歌を級友とつくり、学年代表として修了証を受け取るまでに成長する「胎動」――の3章で構成する。
島村教諭は「子どもたちが豊かな感性でふれあいの輪を広げ、たくましく育っていった過程を知ってほしい」と話す。
B6判、159ページ。ナカちゃんのカラー写真やイラスト入りで、900円。1千部。問い合わせは、平日に平島小学校(0884・42・0039)へ。(竹嶋芳明)