オースミレパードと浜脇敬弘さん=高知県須崎市浦ノ内
山あいに作られた土佐黒潮牧場=高知県須崎市浦ノ内
最高齢出走・勝利記録を打ち立て、「団塊の星」として活躍した競走馬「オースミレパード」(17歳、オス)が高知県で静かに暮らしている。昨年11月、長年のレースの疲れで脚をけがして引退。殺処分寸前のところを、牧場の経営者に救われてもうすぐ1年、今では走ることができるまでに回復した。
高知県須崎市の山あいにある土佐黒潮牧場には、引退した11歳から23歳までの元競走馬11頭が余生を送る。人間で言う還暦を過ぎたオースミレパードもここではまだ「男盛り」。エサを入れる飼い葉おけを度々ひっくり返すほどの元気の良さだ。
オースミレパードは91年4月生まれ。中央競馬46戦で6勝を挙げた。98年に高知競馬に移籍した後も、07年7月に15歳11カ月という最高齢勝利を達成するなど活躍。馬券に「健康長寿祈願」の判子を押してもらう客がいたほど人気も集めた。
しかし、同年11月のレース出走後、脚の関節が腫れ上がる屈腱炎(くっけんえん)を再発し、引退を余儀なくされた。乗馬にも堪えられないと判断され、処分されることが決まった。
当時、同牧場主の浜脇敬弘さん(73)は、知り合いの競馬ファンから「オースミレパードが処理業者のところへ行ってしまった」と連絡を受けた。業者に電話を入れると「すでに九州に送った」との返事だったが、翌日に「まだ生きている」と連絡が入った。浜脇さんは迷った末、「ボロボロになるまで働いて見殺しじゃ、おさまらない」と引き取ることを決めた。
浜脇さんが牧場を始めたのは、経営していた建築会社を辞めた60歳の時。大の競馬ファンだった浜脇さんは「一頭でも多くの馬に幸せな余生を送らせたい」と私財を投じ、家族もアルバイトをして経営を手助けしたという。
浜脇さんは「一日の終わりに今日も馬たちが元気だったと実感する瞬間が一番ほっとする」。馬たちの世話で旅行にも行けないが、「私自身がこんな楽しい余生を送らせてもらって幸せ」と話す。(小寺陽一郎)