タクシー運転手がまた狙われた。いきなり刃物で首を切りつけ現金を奪う手口は、年末に兵庫県稲美町と大阪府東大阪市で発生した強盗殺人事件と同じという。この事件を受けて急きょ、車内の防犯カメラ設置を決めるタクシー会社も現れ、業界も防犯対策に本腰を入れ始めた。
◇
5日の事件で大けがをした運転手の野沢俊樹さん(61)が勤務する国際興業大阪(大阪市東淀川区)によると、野沢さんは4日午前9時に出庫し、翌5日午前4時までの勤務予定だった。その予定を過ぎ、入庫に向かう途中で事件に巻き込まれたらしい。
同社のタクシーは、全地球測位システム(GPS)を使って自動的に経路などを記録している。野沢さんは5日午前4時40分に大阪市平野区の瓜破(うりわり)交差点付近で男性客1人を乗せ、2.3キロ走行。同5時ごろ、大阪府松原市三宅中8丁目で、血を流して運転席に倒れているところを同僚運転手に発見され、同5時16分に救急車で運ばれた。
当時、メーターは動いており、無線室に緊急事態を知らせるレバーは引かれていなかった。
野沢さんは97年7月に入社したベテラン。我孫子営業所(大阪市住吉区)に所属し、大阪市南部で仕事をすることが多かった。「温厚でまじめ。成績は営業所でトップクラス」という。迫田謙典(さこだ・よしのり)副社長は「タクシー運転手は家族を守るために生活をかけて働いている。わずかな金を狙って人の命を奪おうとする行為は許せない。早く逮捕してほしい」と憤った。
◇
大阪、兵庫の三つの事件は、同一犯の可能性があるのか。
5日の事件で、野沢さんは突然右側の首を刃物で切りつけられたという。大阪府東大阪市西石切町6丁目の路上で12月29日に発生したとみられる強盗殺人事件でも、殺害された運転手は首の右側を集中的に切りつけられており、手口が共通している。