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頼れる男 家族が原動力 黒田博樹(プロ野球)

2007年06月28日

 今季、広島市民球場で登板する試合前には、四つの赤い旗がグラウンドで揺れる。4人のファンが一つずつ持つ旗には、それぞれ一つの文字。

写真「野球以外のことを聞かれるのは慣れてないんで、ちょっと照れますね」
写真気迫あふれる投球がファンの心をとらえる

 「黒」「田」「博」「樹」

 観客席には「男 黒田」「15」の大旗。そして、球場は大声援に包まれる。

 昨年、FA(フリーエージェント)権を取得しながら「広島の仲間に投げ込む姿を想像できなかった」と残留を決意した。特別な応援は、その生き様に心打たれた球団とファンの気持ちの表れだ。「僕への応援が去年以上にすごいと感じます。声援を力に」。登板ごとにそう思う。

 今年はセ・リーグにもプレーオフが導入され、9年連続Bクラスの広島にもチャンスはある。チームは現在低迷するが、巻き返しに向けて「マウンド上で最高のパフォーマンスをしたい」の一心だ。

 球界屈指の右腕とはいえ、スーパーマンじゃない。打たれてストレスをためる日もある。そんな時、「4歳と1歳の娘の顔を見ます。あとは、家でぼーとしますね。野球のことを極力考えないように」。そして、こう続けた。「正直言って、子育ては協力できていません。妻には申し訳ないと、いつも思います」

 慎重に言葉を運ぶエースが一時、早口になった。「食」へのこだわりを聞いた時だ。やはり大阪人。大好物はたこ焼きだった。「専用の焼き機が家にあって、多い時には週1回ペースで作る。具はごちゃごちゃ入れず、極力シンプルに。これが一番ですね」

 シーズン中は関西遠征も多いが、宿舎が神戸だから大阪の知人に会うことは少ない。でも、必ず気にかけることがある。5年前に亡くなった母親の墓参りだ。「何とか行こうといつも思います」。難しいが、開幕後は1度、大阪に立ち寄れた。

 取材に応じてくれた日は、黒のシャツとジーンズ姿。服のこだわりはないが「黒系が多いかなあ。あとは動きやすいのがいいかも」。洋服を買いに行く時は、1人でなじみの店へ。時間を見つけてふらっと出かけるのも、一息つける時間だ。

 くろだ・ひろき 75年2月生まれ、大阪府出身。大阪・上宮高から専大を経て、ドラフト2位で97年、広島入団。右投げの本格派として活躍し、05年に最多勝利賞(15勝12敗)、06年に最優秀防御率賞(1.85)。同年にFA権を取得するも、広島残留を決めた。184センチ、85キロ。

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