砂漠の民は旅人を心からもてなす…この言葉に偽りは無く、世界中でも唯一このサーキットだけ、朝、昼、お茶、そして晩餐までと完璧なメディア用のホスピタリティーが用意されている。
普段はどちらかと言えば嫌われ者のメディアもこの国ではVIP待遇だ(笑)その歓迎ぶりは空港からホテルへの送迎、そしてホテルからサーキットへのシャトル・サービスと世界に類をみない。
しかし、そんな素晴らしいホスピタリティーが用意されているサーキットだが、砂漠の中のサーキットであることに変わりなく、実はこれが写真家を苦しめることにもなるのだ。つまり、どこを撮っても背景は砂漠であることには変わりがなく、砂漠のサーキットでは極端に絵作りが難しい。1セッション撮影をすると、もういいかな?とそんな気分になってくるのだ。砂漠ならではの1枚を追い求めるも、路面の熱で陽炎が立ち上り、画面のどこにもピントの無い写真が量産される。
もちろん、機材の進化で以前よりは数段良くはなっているが、やはり厳しいのは事実で、上からのアングルで路面の影響を受けにくい写真が多くなる。それは誰もが同じ条件であるわけだが、それでは同じような写真ばかりになってしまう。自分だけの1枚を追い求めると狭き迷路にのめり込むことになるのだが、判っていても、どこまでも進むしかないのもまた真実。
午後のセッションでハミルトンが派手なクラッシュを起こしたが、やはりこのサーキットでオフのテスト行ったフェラーリ、マクラーレン、両チームのアドバンテージは大きく、午前、午後のセッションを通じてフェラーリが1、2。そしてマクラーレンの2台が続き、クビサ、ニコと続き、一貴は8位と健闘するも、残念ながらSAF1の2台はトップのフェラーリから、4秒近い差を付けられテールエンドに沈んだ。
去年は他のチームが大きく動き出す前のアウェイの開幕3戦こそがチャンスだったSAF1だが、今年は状況が異なり、テストをほとんど行えなかった冬の準備不足がまともに影響し、逆にこの3戦が厳しい戦いになっている。
明日の予選も基本的には今日のリザルトが反映されると思うが、今日のハミルトンのようにトラクションコントロールの無いマシンで、砂の浮いたサーキットを走る難しさはあるはずだ。このアウェイの3戦でいうなれば1勝1敗で迎えたフェラーリ、マクラーレン。果たしてどちらが先んずるか?ピットを最後尾にされたマクラーレンの意地も見てみたい気もするのだが…


1957年東京浅草生まれ。1987年、ブラジルグランプリでF1を初撮影。マシンの持つ美しさ、人間模様にひかれ、1988年より、F1グランプリなどモータースポーツをメインテーマとして活動を続ける。
2004年、記事主体の既存F1誌に満足できず、
最高の写真を見せたいと、グラフィック誌F1SCENEを創刊。編集拠点をF1の本拠地ヨーロッパに移し、ヨーロッパの文化と日本の感性の融合を合い言葉に「Team ZERO」を率いて「出版の壁」に挑む。〔詳細〕