初回の攻撃時、智弁和歌山の応援席には「アフリカン・シンフォニー」が鳴り響いた=16日、阪神甲子園球場、山崎虎之助撮影
夏の甲子園を「アルプスの名曲」が盛り上げている。中でも21年前に編曲されて初披露された「アフリカン・シンフォニー」は今大会、代表校の9割が演奏するベストヒット曲に成長した。勇壮なメロディーが好まれる傾向は根強いが、郷土色豊かな「ご当地ソング」も健在だ。
16日の準々決勝。一塁側アルプスで智弁和歌山がアフリカンの演奏を始めた。吹奏楽部長森下友絵さん(17)のトランペットに力がこもる。「試合の流れを引き寄せる特別な曲」と願いを込める。
この曲を甲子園で初演奏したのが同校とされる。初出場した87年、吹奏楽部顧問の吉本英治さん(53)が市販の楽譜を編曲した。「力強さと威圧感がほしい」。そんな思いでアップテンポにし、楽器の音を短く区切ってメリハリをつけたという。
当初、反応はいまひとつだったが、甲子園の常連になると知名度が上がった。「新郎が式の入場曲にリクエストしている」と、鳥取のホテルから録音テープ提供の依頼が舞い込んだこともある。
今大会の代表55校が初戦で演奏した曲を朝日新聞が調べたところ、最多はアフリカンの50校。昨年は代表49校中33校で、出場校に占める割合は7割から9割に増えた。
一方、「自分たちだけの一曲」にこだわる学校もある。青森山田の「ねぶた節」、倉敷商(岡山)の「桃太郎」などが郷愁を誘う。いずれもチャンスの場面や得点時に演奏された。浦和学院(南埼玉)の「浦学サンバ」は、浦添商(沖縄)が「浦商サンバ」として演奏。指笛で盛り上がるアルプスには、サンバのリズムがすっかりなじんでいる。(金成隆一、川原千夏子)