大阪に帰省したときに練習場所となる淀川の川辺で。「今でも時々クラシックバレエの夢をみる。いつかまたやってみたいという野望はあります」=諫山卓弥撮影
北京五輪カヌーのフラットウオーター女子カヤックフォア500メートル決勝で6位になった日本。一番右が鈴木=樫山晃生撮影
最近、様々な競技で選手寿命の延びが話題になるが、この人も元気な32歳。北京五輪カヌーフラットウオーター女子カヤックフォア500メートルで6位。日本勢でこの種目初の入賞を成し遂げた。「何かのせいにしていたら前へ進めない。年齢ではなく気持ちの問題と思うようにしています」
競技を始めたのは大阪・旭高校卒業後だ。3歳からクラシックバレエを習い、中学3年時にはロシアに短期留学もした。高校時代はバレーボールに熱中した。
転向を勧めたのは高校バレーの指導者。「バレーを続けるには身長が足りない。(武庫川女大で盛んな)カヌーなら可能性がある」。乗り気がしないまま練習を見学しに兵庫・西宮のヨットハーバーへ。「日焼けした先輩が夕日をバックにこぐ姿が格好良かった」。一発で魅了された。
遅いスタートをハンディに思ったことはない。「小さいころからやっていたらもう飽きたかもしれないし、限界を感じたかもしれない。大学から始めたからこそ、まだ直せること、やってみたいことが山盛りにあるんです」
趣味は「本読み」。漫画も好き。「得られることがたくさん」と、メッセージ色の強い作品が中心になる。少女コミックは「恋愛ものは恋愛したくなるから」と今は敬遠。競技にのめり込んでいる。
他競技の30歳代選手との交流にも積極的だ。陸上ハンマー投げの室伏広治(ミズノ)とは、02年釜山アジア大会の選手村で話しかけたのがきっかけで、春先のトレーニング法や遠征時の飛行機内の過ごし方などを教えてもらったという。柔道五輪3連覇の野村忠宏(ミキハウス)は奈良県体協の先輩。一時期、競技が楽しめないことを相談したら、「おれなんか楽しいと思ったことはない。勝った時の喜びだけ」。世界を目指す厳しさを示してくれた。
「周りには夢をくださる人ばかり」。北京五輪までは、アンチエイジングをテーマとする商品を扱う会社に所属していた。競技でそれを体現している。(津布楽洋一)
すずき・ゆみこ 76年1月、大阪府出身。武庫川女大―奈良県体協―プロティア・ジャパン。04年アテネ五輪女子カヤックフォア500メートル9位、同年の日本選手権女子カヤックシングル200、500、1000メートル優勝。06年ドーハアジア大会女子カヤックシングル500メートル4位。168センチ、65キロ。