このコーナーを読んでくださる皆さんから、励ましのメールや手紙をたくさん頂き、本当にありがたい。その中に「高齢(15歳以上)の猫が夜に鳴いて困ってます。飼い主は睡眠不足です」という相談が複数あった。
動物病院に連れていっても、血液検査の結果、異常もなく、食欲もあるから治療法はない、と言われた、という方もいた。「とにかく平安な夜が欲しい」と飼い主たちは望んでいる。
10年ほど前まで、いやもっと前になるだろうか、ペットの猫といえば、半分は外、半分は室内で生活していたものだった。散歩中に他の猫とけんかをして感染症を患い、命を落とす、なんていうことが普通にあった。
室内飼いが主流になった今は、亡くなるときには飼い主の前から姿を消すという言い伝えは、通用しない。亡くなるまで家の中で、ずっと飼い主の傍らにいる。だから、飼い主は老いやみとりの問題と直面する。
20年以上も生きる長寿猫もパラパラといる時代だ。老猫が壊れたおもちゃのように鳴く理由は、どこか痛い、しんどい、というものかもしれない。それ以外にも、加齢に伴って脳の機能が衰えてくる影響もありえる。
私の病院「まねき猫ホスピタル」には、名前の通りに猫が数多く来院するので、「認知症かも」という猫も来る。「猫の認知症」はまだ一般的とはいえないが、臨床獣医師の立場からいえば、人間同様、猫にも認知症があると感じる。
私はそういう時には、精神を安定させる薬を処方する。すると、よく寝て、おとなしくなり、夜鳴きが収まることが多い。
教科書に載っている病気だけが病気ではない。これからも、飼い主が持っている個々の疑問や悩みに紙面で答えていきたい。(獣医師・石井万寿美)
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