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猫もがん 無力さにやるせなく

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 「もっと早く気づいて、連れてきてあげればよかったのに……。私、この子にいつも謝ってますねん」

 がんを患った猫。飼い主の女性が、そんなことをポツリと言った。

 私が初めてこの猫を診た時、すでに後ろ脚の付け根に岩のような硬い塊ができていて、もう手のつけられない状態だった。彼女は「何かおかしいなと思っているうちに、あれよあれよと、こうなったんですよ」と説明してくれた。

 点滴を打つなどの対症療法を続けている。だが、悪性と考えられる腫瘍(しゅよう)は、背中などあちこちに、岩のような硬い塊を増やしていく。彼女は私より年配で、悟られているようでもあるが、やはり悩みは深いのではと思われる。

 たとえば、彼女の言葉や動作に、「やるせなさ」や「憤り」のようなものを感じるときがある。

 私が、ウンチやオシッコをちゃんとしていますか、などと質問すると、返事が一呼吸遅れることがあるのだ。その一瞬の間の空き方が心につらく、彼女と猫に対して自分の無力さを申し訳なく思ってしまう。

 猫も寿命が延び、20年以上、生きる場合もある。かつては死期を悟ると飼い主の前からいなくなるという言い伝えもあったが、今の飼い猫はしっかり家の中で生活しているので、そんなことはあまりないと思う。感染症で亡くなることは少なくなり、猫もがんにかかる時代になった。

 腫れやかさぶたができたら、がんにかかっている可能性がある。見つけたら、なるべく早いうちに、動物病院に連れていってあげて欲しい。(獣医師・石井万寿美)

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  • 〈ファクス〉 06・6231・4116 〈メール〉 do-pet@asahi.com

プロフィール

石井万寿美(いしい・ますみ)

 61年大阪市生まれの獣医師。
 92年から大阪府守口市で動物病院「まねき猫ホスピタル」を開いている。〔詳細〕

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