2012年2月29日
「お母さんに似たから、英語も世界史も苦手やわ」
と、いうのが、今春、高校3年生になる娘が勉強をサボる時のいいわけだ。確かに私の高校時代の成績は自慢できたものではなかったが、「遺伝子のせいだから仕方ない」と簡単にあきらめようとする娘に、こんな話をした。
生後1カ月過ぎの捨て猫の兄弟が、それぞれ別の家にもらわれた。猫の場合、一緒に生まれても、お父さんが同じとは限らない。1回の発情で多数のオスと交尾する場合があるからだ。
いずれにしろ、母親の遺伝子を受け継いだ2匹の猫は、見た目も活発さもそう変わらなかった。1匹は、10匹以上を飼育するA家にもらわれ、もう1匹は、先住猫が1匹いるB家に行った。
1年が経ち、A家の猫は、少し小さめでちょっとおどおどした子に育った。B家に行った方は、丸々と太っておおらかな猫になった。もう何代も猫を育てているB家では、初めは聞き分けのない猫でも、数年もたてばみんなおっとりさんになってきた。20年近く付き合いのある飼い主さんが何人かいるが、そのペットは代々、その家独特の似通った性格になるものだ。
「つまりやな、遺伝子も大切かもしれないけど、人生を楽譜に例えるなら、遺伝子は音符のようなもので、保護者は音楽の指揮者や。良い指揮をすればすてきな曲を奏でることができる。遺伝子のせいばかりにしたらアカンの!」と諭した。
私は母親としてまだまだすてきな指揮者になれていないということやなと、心の中でちょっと反省しつつ。(獣医師・石井万寿美)
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