鮎の背越し
〈夏〉鮎
6月には、西日本の河川で、友釣りと呼ぶ囮鮎(おとりあゆ)を使った鮎漁が次々と解禁されます。
桜の咲くころ、中、上流域にまでのぼってきた天然の若鮎や放流された鮎苗は、岩についた川苔(かわごけ)を争うように食(は)んで、このころには十七、八センチほどの成魚に育っています。
阿波野青畝の句は、深吉野とよばれる奈良県東吉野村に住んだことのある、俳人原石鼎(はらせきてい)を思いやってのものでしょう。深吉野で詠んだ石鼎の句に、「山の色釣り上げし鮎に動くかな」というのがあります。
東吉野村を流れる鮎の川は、吉野川の支流のひとつ、高見川です。流れが速く、比較的水温も低いので、鮎の魚体は細みです。
6月の鮎はうすいみどり色が体に走っていて、いかにも若いといった感じがします。なによりも全体の骨がやわらかいので、骨ごとぶつ切りにする「背越し」にはうってつけです。石鼎もこんな細みの鮎を、あるいは背越しにして食べたかもしれません。
鮎の背越しは新鮮な鮎を使うのが第一です。鮎漁師がとれたての鮎を背越しに料理してくれたことがあります。はらわたも抜かずにぶつ切りにしたものでした。(俳人・茨木和生)
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〈鮎の背越し〉
鮎はウロコを取る。胸びれの下にぐるりと包丁で切れ目を入れ、頭をひっぱって内臓をそっと抜き出す。水洗いしてヒレと尾を切り取る。胴は2〜3ミリの筒切り(背越し)にし、氷水にしばらく放し、身をしめる。その後、クッキングペーパーに取り上げ、水気を切る。
器にツマを飾る。田楽みそを酢で割った酢みそか、タデ酢を添えて供す。タデ酢は、だしと酢を1対1で合わせ、みりん・塩少々、鉢ですった蓼(たで)の葉を加えて作る。(料理監修・水野保子)