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季語をいただく

じゅんさいの椀の底なる秘境かな 澁谷道

2008年7月15日

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写真じゅんさいの酢のもの

〈夏〉じゅんさい

 おはしでフランス料理を食べさせるという店で、前菜にじゅんさいが出ました。凝ったドレッシングのかかったじゅんさいを小さな金色の匙(さじ)で掬(すく)いながらこんな食べ方があったのかと感心し、この不思議な食感をもつじゅんさいを食べるのは、中国とわが国だけだと聞いたことを、ふと思い出していました。

 じゅんさいは湖や沼に自生するスイレン科の多年生水草で、茎と葉がゼラチン状の粘液物に包まれており、はしの先ほどの若い巻葉を摘んで食べます。特別においしいというものではありませんが、透明な膜を通して見える淡い緑と、つるりとした喉(のど)ごしが涼味を誘います。

 漢字で「蓴菜(じゅんさい)」と書きます。「蓴(ぬなわ)」として万葉集や古今集にも見え、古くから人々に親しまれてきました。唐の習俗にならい、食べられるようになったようです。近頃は開発などによって生息の場が減った上に水質汚染が進み、池に小舟や盥(たらい)を浮かべてじゅんさい採りをする光景もめったに見られなくなりました。

 椀(わん)種や酢のものにしていただきます。おすましの椀の底に沈んだじゅんさいの放つ光や影。紹介した句の「秘境」はまさにそういう情景を言い当てていると思います。(俳人・大石悦子)

    ◇

〈じゅんさいの酢のもの〉

 じゅんさいをざるに入れて熱湯をかけ、冷水に取り、水気を切って冷やす。だし、酢各2分の1カップ、薄口しょうゆ、みりん各大さじ2で合わせ酢を作る。冷やした器にじゅんさいとところてんを入れ、合わせ酢をかけ、溶きがらしを添える。

 このほか、天ぷらもお薦め。小麦粉と片栗粉を合わせ、同量の水を加え、さっくり混ぜる。洗って水を切ったじゅんさいを付け、スプーンですくい、170度に熱した油で揚げる。塩を添える。(料理監修・水野保子)

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