鱸の洗膾
〈夏〉洗膾(あらい)
近畿地方の梅雨も明けました。予報では今年も暑い夏となりそうですが、健康な人でも食欲が落ちるとき。バランスのとれた食事をして、元気に乗り切りたいものです。
さっぱりとして滋養にいいのが洗膾(あらい)です。新鮮な魚を刺し身より薄めにつくり、氷水をくぐらせて身を締めたもので、酢味噌(すみそ)や山葵醤油(わさびじょうゆ)でいただきます。
洗膾にされる代表的なものとして、海の魚なら鱸(すずき)・鯛(たい)・鰡(ぼら)、川の魚なら鯉(こい)・鮒(ふな)などがあり、いずれも冷水で洗うことで、魚臭や余分の脂も抜けて食べやすくなります。
ひと手間かかった料理ですから、見た目にも涼しげに盛りつけたいもの。氷を敷いた透明なガラスの皿がよく用いられます。
正岡子規は宿痾(しゅくあ)の床に臥(ふ)しながら、病に打ち克(か)つために盛んな食欲を自らに課しました。病床日記『仰臥漫録(ぎょうがまんろく)』には、子規の毎日の献立が記されており、調理にあたった母と妹の献身に頭が下がります。
「ビードロ」はガラスのこと。冷蔵設備の普及していなかった明治の頃、涼しい心配りのされた洗膾を前にして、子規はどんなによろこんだことでしょうか。(俳人・大石悦子)
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〈鱸の洗膾〉
鱸の上身は皮の付いていた方を下にして薄くそぎ切りし、氷水に放つ。すべての身がちりっと締まったら、ペーパータオルかふきんで水気をふき取る。
冷えた器に盛りつけ、貝割れ大根、みょうが、きゅうりの輪切りなどをあしらう。醤油(しょうゆ)とだしを2対1の割合で合わせ、だし割り醤油を作る。おろしわさびとだし割り醤油を添えて供す。(料理監修・水野保子)