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季語をいただく

鍛冶の火にコノシロ焼くと見て過ぎつ 山口誓子

2008年9月16日

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写真コノシロの酢の物

〈秋〉コノシロ

 コノシロ(魚へんに祭)はニシン科の魚で、鮗という字も当てます。マイワシを平たくしたような美しい姿の魚です。光沢のある布や衣服のことをいうのに「コノシロの背中のよう」という喩(たと)えがあります。

 コノシロは25センチくらいの大きさにまで成長しますが、15センチほどの幼魚を関東ではコハダ、関西ではツナシと呼んでいます。沿岸近くや河口域で獲(と)れ、鮮度がよいので、鮨(すし)ねたの「光り物」として重宝されています。「鮨はコハダにとどめを刺す」という諺(ことわざ)がありますが、飽きのこない魚なので、最後に食べるのがよいという意味です。

 誓子の句は句集「激浪」に出ている、太平洋戦争中の作品です。伊勢の地に病身を養っていた誓子は、散歩に出て目にした光景を詠みました。農機具の修理をしている野鍛冶(かじ)の小屋を「コノシロを焼いているな」と見て過ぎたのです。

 コノシロは「この城を焼く」とか「この城を食う」という意味に通じるため、武士には嫌われた魚でした。焼くと死臭がするとも言われていました。野鍛冶の焼くコノシロに誓子も死臭を感じたのでしょうか。

 小骨の多い魚ですが、胡瓜(きゅうり)や千切りにした生姜(しょうが)を添えた酢の物も好まれています。(俳人・茨木和生)

    ◇

〈コノシロの酢の物〉

 コノシロは三枚におろして、塩を多めにふり、1時間おいて身をしめ、酢洗いをして水分をふき取る。酢2分の1カップ、砂糖大さじ2を合わせて甘酢を作る。コノシロを一晩漬け、酢じめにする。キュウリは薄い輪切りにして塩をし、しんなりしたら、水気を絞る。酢2分の1カップ、砂糖大さじ1と2分の1、薄口しょうゆと塩各小さじ半分を合わせて三杯酢を作り、細切りにしたコノシロとキュウリ、針ショウガをあえる。(料理監修・水野保子)

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