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季語をいただく

ぎんなんをむいてひすいをたなごころ 森澄雄

2008年11月4日

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写真飛龍頭の椀物

〈秋〉銀杏

 「銀杏(ぎんなん)」はイチョウの種子。同じ字で「いちょう」とも読みます。また、イチョウは「鴨脚樹」とも書きます。たしかに葉の形が鴨(かも)の脚の形と似ています。

 種子は、硬い殻に守られた多肉質の外皮、渋皮にくるまれた翡翠(ひすい)のような胚乳(はいにゅう)からなります。これが食用の「ぎんなん」です。炒(い)るだけで、酒の肴(さかな)にいいのですが、銀杏飯、茶わん蒸しなどに少しあしらう方に趣があるようです。

 がんもどきもその一つです。「雁擬」と書き、味が雁(かり)の肉のようだ、というところから付けられた名のようです。「飛竜頭(ひりょうず)」という別名で呼ばれることもあります。こちらはポルトガル語が語源といわれています。

 豆腐に混ぜ込む材料は、この漢字に由来すると言い伝えられています。黒い木耳(きくらげ)やひじきは竜の髭(ひげ)、百合根(ゆりね)の一枚一枚は竜の鱗(うろこ)、そして翡翠色の銀杏はぴかぴか光る竜の目玉。牛蒡(ごぼう)や蒟蒻(こんにゃく)など時節のものを入れた豆腐を丸めながら、ピンポン球ほどの小さい世界の中に、厨人(くりやびと)たちは大きな竜を見たのでしょうか。

 森澄雄の句。翡翠色の銀杏を掌の窪(くぼ)みに置いて眺めている時の気分が、漢字で書く硬さに馴染(なじ)まなかったのでしょう。優しい句です。(俳人・宇多喜代子)

    ◇

〈飛竜頭の椀物〉

 木綿豆腐1丁は重石(おもし)をして水気を切り、絞る。卵1/2個、おろし山芋少々、水で戻したひじき、片栗粉をまぶした銀杏、百合根を適宜加え、ぼってりするまで混ぜたら、手に薄く油を塗り、4〜5センチの大きさに丸め、低〜中温でゆっくり揚げる。

 熱湯で油抜きをし、二番だしに薄口しょうゆ、みりん、塩少々を加えた汁で煮含める。椀(わん)に入れ、ゆでたホウレンソウ、ニンジン、おろし生姜(しょうが)を載せ、葛(くず)でとろみをつけた吸地を注ぐ。(料理監修・水野保子)

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