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ぷらっと沿線紀行

ホームも本拠地(ホーム) JR鶴ヶ丘駅

2009年9月26日

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写真高架になったJR阪和線。特急はるかの後方に白い円盤状の巨大な長居陸上競技場が見える写真鶴ケ丘駅構内は、セレッソ大阪のチームカラーのピンク色を基調に染まり、サポーターを迎える=大阪市阿倍野区写真巨大な応援旗が振られ、セレッソ大阪の選手を鼓舞する=大阪市東住吉区写真長居陸上競技場でゲームを見つめるセレッソ大阪のサポーター=大阪市東住吉区写真JR阪和線の高架地図   フォトギャラリー

 「ここはもうスタジアム?」

 電車からホームに降り、下りのエスカレーターで1階の改札に向かった人は、目の前の光景に驚かされるだろう。

 Jリーグ2部セレッソ大阪のホームスタジアム・長居陸上競技場(長居スタジアム)への最寄り駅、JR阪和線・鶴ケ丘駅(大阪市阿倍野区)。改札の壁には選手の顔写真がずらり。柱の色はチームカラーのピンクに近く、天井からチームフラッグが下がる。

 鶴ケ丘駅は5月、巨大な「サポーター」に生まれ変わった。JR西日本大阪支社営業課の三浦晶子さん(30)は「地域に愛される駅のモデルとして、初めて駅の装飾を決めた」。300万円の改装費はセレッソ大阪が負担した。

 8月から、試合開催日は、駅員が背番号入りのピンクのTシャツを着ている。駅員が制服を脱ぐのも初めての試みだ。鶴ケ丘駅を管轄する元家誠・堺市駅長(52)はファン以外の乗客の反応を心配したが、「駅もきれいになって良かったね、と声をかけてもらえる」と胸をなで下ろす。駅構内に、選手のスパイクやユニホームを飾る「ミニミュージアム」を設置する構想もあるという。

 玄関口が整えられつつある長居スタジアム。02年にサッカーのワールドカップが開催されるなど関西サッカーの「聖地」と、その沿線では日本サッカー界の人脈が交錯する。

■つないだ。闘将たちを

 02年のワールドカップ(W杯)日韓大会。日本代表は6月14日、長居陸上競技場(長居スタジアム)でチュニジアと対戦、2―0で勝ち、決勝トーナメント進出を決めた。この試合を含めスタジアムでは3試合が開催され、計13万4310人が詰めかけた。混雑緩和のため客席のエリアごとに、鶴ケ丘駅など周辺4駅が降車駅に指定され、チケットに印刷された。

 「電車で行けるW杯」。長居を40年以上見守ってきた元サンケイスポーツ編集局長(大阪)で、今も現役記者の賀川浩さん(84)は深い感慨に浸った。64年10月20日、新築された長居陸上競技場のこけら落としは東京五輪のサッカーだった。準々決勝で敗れた4チームによる順位決定戦が「大阪トーナメント」として開催されたのだ。長居での開催を提唱したのが、賀川さんだった。

 当時まだ、サッカーはマイナースポーツ。プロ野球、阪神と南海による日本シリーズのチケットと合わせて入場券をさばいた。苦労の結果、日本―ユーゴスラビアの試合は、満員の観客で埋まった。

   ◇

 「相手のフォワードにやたら長身で、足技もうまい選手がいてねえ」と語るのは、この試合に出場した日本サッカー協会名誉会長の川淵三郎。日本は1―6と完敗した。川淵を感心させた長身フォワードがイビチャ・オシムだった。この試合から42年後の06年、川淵は、オシムを日本代表監督に選ぶことになる。「まったく人のつながりというのは、不思議だよ」

 川淵は、大阪府立三国丘高校(堺市)の出身だ。高校時代は阪和線に乗って通学した。「仁徳天皇陵の周りをランニングするのが嫌で。今は、周辺はすっかり住宅街になっちゃったけどね」

 07年12月7日、脳梗塞(こうそく)で倒れたオシムの後任監督に、岡田武史が決まった。岡田もやはり、阪和線沿線の大阪府立天王寺高校(大阪市阿倍野区)の出身。

 賀川さんは69年、「知り合いの息子さんがドイツに行ってサッカーをやりたいと言っている。相談に乗ってあげて」と、知人から頼まれた。大阪・梅田の喫茶店に現れたのが、まん丸眼鏡の中学生の岡田だった。ひょろっとした体形を見て、「高校で体を鍛えてからにすれば」と助言すると、岡田はふくれっ面で帰っていった。

 天王寺高校時代に、岡田はユース代表に選出される。高校生で選出されたのは3人だけだった。賀川さんとの再会は、喫茶店での相談から十数年後。「お世話になりました」と頭を下げられた。岡田は現役引退後、念願のドイツにコーチ留学を果たす。

   ◇

 東京は再び、16年の五輪招致に名乗りを上げた。開催地決定は10月2日(日本時間3日未明)に迫る。日本サッカー協会も18年、22年のW杯開催に立候補。駅も高架となり、新しくなった鶴ケ丘駅がまた、世界の人々の目に触れる日が訪れるかもしれない。

(文・藤田淳 写真・山本裕之)

鉄ちゃんの聞きかじり〈「開かずの踏み切り」今は昔〉

 阪和線・美章園―杉本町間(4・9キロ)の高架工事が始まったのは99年3月。この工事で12カ所の踏切がなくなり、鶴ケ丘駅など4駅が高架化された。

 国土交通省は、ピーク1時間あたりの遮断時間が40分以上の踏切を「開かずの踏切」と定義。同区間では工事前、12踏切のうち3カ所が全国ワースト10に入っていた。最長は、長居―鶴ケ丘間のあびこ筋にかかる踏切で、ピーク時の遮断時間は52分だった。

 当時、JR西日本天王寺工事所の副所長だった蔵光英雄さん(40)は「待ちきれずに、踏切をくぐる人がいると、電車が速度を落とし、運行に遅れが出て、また遮断時間が延びるという悪循環だった」と話す。

 総事業費803億円の大工事は、上り線完成が04年10月、下り線完成が06年5月。すべての工事が完了したのは、08年3月と長期にわたった。

探索コース

 長居陸上競技場のある長居公園は、総面積65・7ヘクタール。テニス場やプールなどのスポーツ施設のほかに、四季折々の花が楽しめる植物園や、自然をテーマとした展示がある自然史博物館などがある。植木市やコスモスの花摘み体験会などのイベントも数多く開かれている。植物園は大人200円。10月末までの開園時間は9時半から17時まで、月曜休園。

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