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心の扉 開いて待てば 水琴窟(大津市・延暦寺)(1/3ページ)

2010年6月12日

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【動画】阿弥陀堂の水琴窟

写真手を耳に当て、水琴窟の音色に聴き入る参拝者=大津市の比叡山延暦寺写真比叡山延暦寺の水琴窟に使われているものと同型のかめ=京都市北区の久保造園写真通称、弁慶のにない堂=大津市の比叡山、荒元忠彦撮影地図   

 坂と階段を、10分はのぼりつづけただろうか。

 緑の木立を抜けると、朱塗りの阿弥陀堂が現れた。手前に、砂利を敷き詰めて大きな石を並べた小さな庭園。看板に、こう書いてあった。

 「心 静かに妙音をお聞きください」

 庭の真ん中に立ってみる。聞こえてくるのは虫や鳥の声だけ。さらに耳を澄ませると、砂利の間から音が聞こえてきた。木琴のようであり、鉄琴のようでもあり、ガラスがぶつかり合っているようでもあり……。

 大津市の比叡山延暦寺。砂利の下にあるのは、水がめを逆さにして埋めた水琴窟(すいきんくつ)だ。下にたまった水に水滴が落ちて、音が響く。

 4年前、両親を納骨している三重県の女性から「何か供養になる物を寄進したい」と相談された阿弥陀堂輪番の小森秀恵さんが、水琴窟を勧めた。

 天台宗の修行「座禅止観」では、自分の呼吸を数えて集中する方法がある。例えば、100まで数えると、また1から。

 「初心者は100までよめない。30ぐらいで迷子になってしまう。ふだん呼吸を意識していないからです」と小森さんはいう。

 静寂のなか、心を静めて地下からの音に耳を澄ます。水琴窟の響きを聞くことは、まさにその境地に相通じるという。

■染みいる音色 秩序と無秩序の妙

 水琴窟(すいきんくつ)は江戸時代、庭園技術として生まれたとされる。しかし、誰が発明したのかなど、なりたちははっきりしない。

 明治、大正、昭和と時代が進むにつれて姿を消した。1959年には「全国で確認できたのは2カ所のみ」という論文が発表された。83年7月、朝日新聞のコラム「天声人語」が水琴窟をとりあげた。

 「ぽぽぽん、ぽん、ぽぽんと静かな音が地中からかすかにきこえてくる。こんこんとくぐもった金属音にもなる。鍾乳洞で水のしたたる音をきくような、涼気がある」

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