【動画】ヨットの波切り音
波を切って進む「MERMAID」=兵庫県西宮市沖
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朝焼けの新西宮ヨットハーバー。停泊するヨットの間から朝日が見えた=兵庫県西宮市
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ヨットを操縦する堀江謙一さん=兵庫県西宮市沖
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西宮市貝類館
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レストラン「フリアンディーズ」
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天高く伸びる15メートルのマストに、白い帆がのぼる。風を受けてはためき、緩やかな弧を描いた。
兵庫県西宮市の沖合で、全長35フィート(1フィート=約0.3メートル)のクルーザーヨット「MERMAID(マーメイド)」が、六甲の山々を背に海を走る。ゆっくり上下動を繰り返しながら水しぶきを上げる。その波切り音がたまらない、とヨットマンはいう。
「何十年聞いても飽きない。この音を聞くために乗っているのかもしれない」と、舵輪(だりん)を握る海洋冒険家の堀江謙一さん(73)。優しく、時に険しく。わずかな音響の違いでヨットの速度、傾斜の程がわかるという。
雲間から差し込む陽光に大阪湾がきらめく。遠くに明石海峡大橋、紀淡海峡に浮かぶ友ケ島が見える。
1962年、23歳の堀江青年は西宮の港から米サンフランシスコを目指し、ひとり大海原に乗り出した。94日かけて成し遂げた世界初の太平洋単独無寄港横断は世間の話題をさらい、翌年には石原裕次郎主演の映画「太平洋ひとりぼっち」が公開された。
堀江さんが拠点にする新西宮ヨットハーバーには、約500隻の船がある。オーナーの中には、半世紀前の青春時代の驚きや感動を、今もみずみずしく胸にとどめる人が少なくない。中高年になって船を手に入れ、大航海に挑む。
■もっと遠くへ おまえとズウっと
映画「太平洋ひとりぼっち」で石原裕次郎演じる堀江謙一青年は、嵐を切り抜けたあと、青空が広がる洋上で思う。
「船はズ、ズウっと波に乗って走る。(中略)僕は大自然の大きさをつくづく感じた。幸せだ。きてよかった」
大阪府高槻市の小林達郎さん(69)は、二十歳を過ぎて銀幕で触れた未知の冒険世界が、いまも心に残っている。