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勝手に関西世界遺産

登録番号203 山本浩之アナ

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写真関西テレビの山本浩之アナウンサー。自身がモデルのキャラクターグッズ「ヤマヒロ癒やし玉」(非売品)を握りしめて写真平日夕方の「スーパーニュースアンカー」本番中の山本アナ。左は村西利恵アナ=大阪市北区の関西テレビ

 阪神淡路大震災の時に、テレビは何をどうつたえたか。その報道ぶりに、問題はなかったか。あるいは、被災者のくらしをいくらかでもささえることが、できたのか。

 最近、そんなかまえのテレビ番組を、関西テレビでみたことがある。一種の自己検証番組である。内容が内容だけに、私もすこしいずまいをただして、画面へむきあった。

 おなじみの局アナたちが、現地取材へおもむいている映像も、うつしだされている。おしなべて、みな若い。もうあれから十数年の時をへてきたんだなと、思い知る。

 なかでも感銘をうけたのは、山本浩之アナの姿であった。髪の毛が、ふさふさしている。そうか、あのころはまだカツラをかぶっていたんだと、あらためて感じいった。

 おかげで、いちどひきしめた私の気持ちは、すこしゆるむことになる。まじめな検証番組なのに、今の山本アナがしばしばもらす自虐的なカツラ噺(ばなし)を、思い起こしてしまう。「ハゲハゲビーム」なんかが、頭をかすめたりもした。

 だが、同時にかつての山本アナがあじわっただろう屈託へも、私は想(おも)いをはせていく。震災の現場には、カツラどころじゃあない現実があった。そんな被災地の様子を、カツラをかぶりながら、つたえようとする。おそらくは、プロのアナウンサーとして、カツラのうつり具合も、気にしつつ。そんな時、山本氏の脳裏には、どのような想念が去来したろうか、と。

 周知のように、山本アナは、自分がキャスターをつとめる番組で、ハゲを告白した。以後は、カツラをとって、テレビの仕事をつづけている。バラエティー番組では、「ハゲネタ」「ヅラネタ」ではじけるようにもなった。ひょっとしたら、そのはしゃぎかげんに眉(まゆ)をひそめるむきも、いるかもしれない。

 だが、私は勝手に思う。あの人は、カツラで震災の報道をすることが、つらかったんだ。それだけ、誠実な人なんだ、と。

 山本アナを、関西世界遺産の人とするために、私は話をこじつけているのだろうか。それでも、考えてほしい。カツラや育毛剤のメーカーは、民放を支える大スポンサーである。そのお得意様を、「ハゲハゲビーム」は、どうどうとないがしろにしているのだ。ただただ、頭が下がるばかりである。

 ちっぽけな告白だが、私は髪の毛を黒くそめている。白髪頭を、なかなか人前にはさらせない。山本アナの勇気を、見ならいたいとは思っているのだが。

(文・井上章一〈国際日本文化研究センター勤務〉 写真・伊ケ崎忍)


○衝撃告白11年 増す輝き

 山本さんが深夜の情報番組「クロスファイア」の中でかつら着用を告白し、脱ぎ捨てたのは98年1月のこと。反響は大きく、スポーツ紙やワイドショーの取材が殺到した。

 29歳でニュース番組のキャスターに起用されたとき、すでに頭髪は心細く、「20代なのに若々しさがない」と局内で評された。かつらの助けを借りることにした。初めてかつらを着けた日を「人生、バラ色でした」と振り返る。

 しかし、やがて負担も感じ始めた。取材に飛び回ったが、常にかつらが気になって集中力が分散するのがつらかった。国会議事堂で取材陣が押し合いへし合いする中、頭上後方から突き出されたマイクにかつらが引っかかり、ずり下がる珍事も。6年半のキャスター生活卒業を機に、かつらも卒業と決めた。

 06年4月から再び夕方のニュースキャスターとして硬派の顔を見せる一方、バラエティーでは「ハゲハゲビーム」などのギャグを連発する。告白から11年になる今も、最強のネタという。この長持ちぶりが関西らしさというべきか。「そのハゲ、売って」と芸人さんに懇願されたという伝説まで生まれた。

 山本さんはかつらも否定しない。「着けても脱いでも、自分が自然でいられる方を選べばいい」。「ハゲ」でも「ヅラ」でも、毛髪にとらわれた心さえ解放されれば、男は輝く。(佐藤千晴)

★関西が誇る「お宝」を紹介します。「これぞ関西の世界遺産」という有形無形のお宝の推薦をお待ちします。住所、氏名、電話番号を書き、〒530・8211朝日新聞生活文化グループ「勝手に関西世界遺産」係へ。ファクスは06・6231・9145、メールはdo-kansai@asahi.comへ。ご意見、情報などもお寄せ下さい。

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