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【姫路おでん】ショウガないと しょうがないねん

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写真かどや食堂ではおでん鍋のわきにショウガじょうゆを置いている。客は好みでかけて味わえる=兵庫県姫路市、小玉重隆撮影写真絵・グレゴリ青山

 温かいおでんが恋しい季節。最近は辛子ではなく、ショウガじょうゆをかける「姫路おでん」がB級ご当地グルメとして人気上昇中だ。味わってみたくて、昨年末から兵庫県姫路市に足を運び、5店で食べ歩いた。

 ショウガじょうゆは小皿で出てくるところもあれば、自分でかける方式も、最初からかけて出てくる店もあった。だしの味は濃かったり、薄かったり。ただ、不思議にショウガじょうゆをかけると味にメリハリがつき、大根、厚揚げ、ジャガイモなど具材がより引き立つ。心配していたほど辛くもない。しょうゆをだしで割ったり、酒を加えたり店ごとの隠れた工夫もあるらしい。食べ続けると、ショウガじょうゆがないと物足りなく感じるまでになった。

   ◇

 姫路のおでんが注目されるきっかけの一つは、2006年、播磨うまいもん会の事務局長前川裕司さん(54)に届いた一本のメールだった。「ショウガじょうゆをかけて食べるのは、ほかの地方にはない風習では?」

 インターネットの掲示板に載せると、「初耳」「姫路の実家はその食べ方」。反響が広がり、前川さんらは「姫路おでん」と命名。おでんを食べさせる店を紹介したガイドマップを作り、県外のイベントでPRを始めた。もともと昭和初期に甘辛い関東煮の味を調整するためにかけたのが起源とされ、ショウガとしょうゆの産地が近くにあったことも食習慣につながったといわれる。分布は東は加古川、西は相生と限定的だ。

 ショウガみそをつける青森、八丁みそで煮込む名古屋など、各地でご当地おでんが脚光を浴びたのも追い風になり、「姫路おでん」も急速に全国区に。昨年11月に出た「ガイドマップ3」には46店が連ね、今や世界遺産・姫路城と並ぶ名物になった。姫路市内で「らぁめん結侑輝(ゆうき)」を夫と営む室優子さん(48)は5年前の開店時からショウガじょうゆをかけたおでんを出していたが、県外客にはあまり受け入れてもらえなかった。「それが今やおでん目当てに多数やってくる」とうれしい悲鳴。

 とはいえ、地元では周囲の盛り上がりに「ピンとこない」という声も。かどや食堂2代目店主の有本勲さん(66)は「子どものころからショウガじょうゆをかけとったからなあ……」。

   ◇

 「姫路おでん」旗振り役の前川さんは、これまで地元の食材を使った創作料理の開発を繰り返してきたが、どれも定着しなかった。今回のヒットは目から鱗(うろこ)の心境だ。「おいしくてその土地で普段から食べられているからこそ、名物になった。勉強になりました」(上原賢子)

■推薦

歌手 松浦亜弥さん

気がつけば宣伝マン

 生まれ育った姫路のコンビニのおでんコーナーには、ショウガじょうゆが置いてあったんですよ。好きな具を自分で器に取って最後にかけるスタイル。自宅のおでんもショウガじょうゆがセット。それが普通の食べ方なんだと思っていました。

 14歳で上京して、東京のコンビニでおでんを買ったときにショウガじょうゆが見あたらないので、「かけるものは?」と店員さんに聞いたんです。すると「辛子ですか」と。事務所や番組のスタッフに聞いてもショウガじょうゆはかけないと言うので、姫路にしかないんだって知ったんです。

 03年に歌番組で初めてこの食べ方を紹介しました。司会のダウンタウンさん(尼崎出身)も知らなくてびっくりしていましたね。以来、番組で何度か話すようになって、気がつけば宣伝マンみたいに。いまでは東京のお店の人も「聞いたことあるある」ってショウガじょうゆ出してくださいます。東京にいながら姫路の味、うれしい。ショウガは体をあたためる効果もある。わたしはお薦めだと思います。

 〈略歴〉 1986年、兵庫県姫路市生まれ。01年、歌手デビュー。昨年末、ツアーDVDが発売された。

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