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【宝塚ファン】見守る愛、それは気高く

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写真花組トップ娘役、桜乃彩音さん(手前)が宝塚大劇場に別れを告げた4月12日。千秋楽の終演後、土砂降りの雨の中を1200人のファンが見送った=兵庫県宝塚市、小玉重隆撮影イラスト絵・グレゴリ青山写真林正朗さん

 宝塚大劇場の楽屋口。月組の終演後、熱気さめやらぬファンが待ってる、待ってる。スターの帰りを一目見る「出待ち」だ。見渡す限り、ほぼ女性ばかり数百人。ただし、待つ場所には決まりがある。楽屋口の最も近くがトップスター霧矢大夢(きりや・ひろむ)さんのファンクラブ。次いで2番手男役、組長、学年順……。乱しちゃダメ、シビアよ。

   ◇

 生徒(劇団員をそう呼ぶ)が楽屋口から次々出てくるたび「座りまーす」とファンクラブのスタッフが号令。一斉にしゃがみ、通ったら「立ちまーす」とまた号令。一般ファンが見られるようにとの配慮だ。統率がとれている! しかし霧矢さんが出て来るまで待つこと2時間。日々これとは、なんとけなげな。

 年200万人を動員する宝塚歌劇。チケットの先行販売特典がつく「宝塚友の会」がある。1934年にできた当初は「女子の会」だったが、51年に男子にも解禁。いま7万人の会員のうち1割が男子という。だけど、ひいきの生徒を応援したいのが人情。そこで生徒個人の私設ファンクラブがあり、大きなところは千人を超す。

 ファンクラブに入ると、「入り待ち」「出待ち」でお手紙を手渡したり、「お茶会」で素顔が見られたり、距離が近づきドキドキ。ただ、代表やスタッフには仕事がいっぱい。「入り待ち」の時間案内、切符の取り次ぎ、公演の礼状書き、車で生徒の送り迎え……。舞台生活の裏側を身銭をきってサポートする。あるファンクラブの代表を10年務める女性は「トップになれたらなって願って応援してきた。私の人生そのもの」と。

 清く正しく美しく、女が女を支えるの。愛あればこそ――。

 「昔はこんな組織的じゃなくて生徒との距離が近かった。バスを借り切って遠足に行ったり、ご飯をつくって一緒に食べたり、お友だち感覚だった」とファン歴82年という宝塚市の科埜(しなの)智子さん(82)。実際、大正時代にファンは“お友だち”と呼ばれたそうな。

   ◇

 もちろん、ファンクラブに入らず劇場に通う人も多い。茨城県の女性会社員(42)は土日すべてを宝塚観劇に費やし、同じ演目を宝塚大劇場と東京宝塚劇場で40回見る。1カ月で宝塚にかける費用は10万円を下らない。でも、「働くのはこのため。悔いはない」。

 「ファンは歌劇を人生の糧にする」と小学生からのファンで「宝塚(ヅカ)読本」を書いたライター中本千晶さん。「一方で、人事や配役に目を光らせるから歌劇団にとってはうるさいご意見番でもある。宝塚ファンはおせっかいなんです」

 けなげなおせっかい精神が、歌劇を育ててきた。2014年で100歳だもん。(河合真美江)

■読者推薦

宝塚市の林正明さん(65)

カゲキなファンよ、バンザイ

 通勤で毎日、宝塚大劇場前の「花のみち」を通ります。いつも楽屋口に大勢のファンがスターを待っています。そろいの服で整列したグループ。フワフワしたスカートで「自分もタカラジェンヌと思ってませんか」というようなおばさまも。宝塚を観たこともない私はびっくりしましたが、近ごろわかるようになりました。夢を与える歌劇も支えるファンあってこそだと。カゲキなファンよ、バンザイ!

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