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【長浜タワー】「BILL」と呼んでくれ

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写真色あせたものの、存在感十分の長浜タワー。前面には「NAGAHAMA TOWERBILL」の文字=滋賀県長浜市、小玉重隆撮影イラスト絵・グレゴリ青山写真地域タウン誌「み〜な」編集長 小西光代さん

 「タワー」と言えば、今では都心にそびえる高層のタワーマンションを連想するが、かつては東京タワーを思い浮かべる人が多かった。1958年に完成した高さ333メートルの電波塔は、戦後日本の経済成長のシンボルになった。

 そんな東京タワーの名声にあやかって建てられた鉄塔が、滋賀県長浜市にあると聞いた。大阪・通天閣、京都タワー、神戸ポートタワーと並ぶ“関西4大タワー”の一つ、との珍説を唱える人もいるとか。早速、足を運んでみた。

   ◇

 長浜は、黒漆喰(しっくい)の外壁の近代建築や和風の伝統建築を利用したガラス工房、ギャラリー、カフェなどが並ぶ観光スポット「黒壁スクエア」で有名だ。JR長浜駅から東へ歩いて5分足らず、黒壁スクエアに向かう途中に、古びた5階建ての「長浜タワービル」があった。洗練とはほど遠いデザインのアンバランス感と、色あせた外観。その屋上には、赤い文字で「長浜タワー」の看板が取り付けられた鉄塔が建っている。高さは十数メートルほどだろうか。

 B級建築とは、こういう建物をいうのだろう。ビル壁面に「NAGAHAMA TOWERBILL」という英語の看板。えっ? 「BILL」ってビルディングの略? でも正しいスペルは「BUILDING」でしょ。間違った文字を堂々と前面に押し出すところなどは、B級たるゆえん。あっぱれ。笑いと共に感動を覚える。

   ◇

 このビル、「長浜にも東京タワーのようなタワーを」と、地元の資産家が1964年に建てた。屋上の鉄塔は、東京タワーのように放送電波を出すわけではなく、形を借りただけ。しかし、完成当時は5階の展望室が開放され、市民が眺望を楽しんだ。その資産家もすでに亡く、現在は1階に飲食店が入っているものの、2階以上は閉鎖されたまま。残念だが、下から眺めるしかない。

 近くで印判店を営む松岡成男さん(48)は、生前の資産家から話を聞いたことがあるという。

 「8階建ての上に鉄塔を設ける計画だったが、建築許可が下りなかった。悔しいから鉄塔の頂点までの高さが8階に相当するようにした、と言っていました」。当初はビルの側面に赤いバラの大きな飾りが取り付けられていたといい、「紳士が胸ポケットにバラを挿している姿をイメージしたそうです」。数年前まで残っていたが、大風で外れる恐れがあり危険、として取り外された。

 今、東京では高さ634メートルの東京スカイツリーが建設中だ。不況の時代だが、どこかの街で、「我が町にもスカイツリーを――」と考えている資産家がいるかも?知れない。(長谷川千尋)

■推薦

地域タウン誌「み〜な」編集長 小西光代さん(55)

なぜか人気「北近江のえぇもん」

 2年前、創刊100号を迎えたのを機に、読者投稿をもとに「100年後にのこしたい北近江100のえぇもん」を企画しました。伊吹山、琵琶湖に浮かぶ竹生島、国宝や重要文化財の社寺、フナずしなどの定番と並んで、長浜タワーを推薦する声も挙がりました。シックでレトロな黒壁スクエアの建物とは真逆で、異様なタワーですが、観光客には不思議に人気で写真を撮る人も多く、「100のえぇもん」に選びました。

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