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ますます勝手に関西遺産

【飴ちゃん】おばちゃん ちょーだい

2011年2月9日

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写真:お菓子専門の問屋「小柳商店」に並ぶたくさんの商品の中でも飴ちゃんは古くからの定番=大阪市中央区、中里友紀撮影お菓子専門の問屋「小柳商店」に並ぶたくさんの商品の中でも飴ちゃんは古くからの定番=大阪市中央区、中里友紀撮影

イラスト:絵・グレゴリ青山拡大絵・グレゴリ青山

写真:大阪出身のジャズシンガー、キャンディー浅田さん大阪出身のジャズシンガー、キャンディー浅田さん

 「美容院の鏡の横」「居酒屋のレジの横」――。関西以外の出身者が驚く、街中にあふれる飴(あめ)。味はチープでも、“飴ちゃん”とちゃん付けで呼ばれる近しい存在。大阪のおばちゃんはカバンに飴を入れているという都市伝説はあまりに有名だ。取材に出かけた大阪市内の地下鉄駅でたまたま遭遇した60代女性2人組も、やはりカバンに飴が。「食事の後のにおい消し」「あげた時に喜ばれるのがうれしいねん」。初対面の記者にも「持っていき」とフルーツ味の飴を幾つもくれた。恐るべし!

 大阪と飴のゆかりは深い。江戸時代、天下の台所と言われた大坂には飴の原材料の砂糖や水飴が集まった。全国の名物を紹介した江戸中期の「日本山海名物図絵」に大阪・平野の飴が登場するほどで、今でも大阪市にはUHA味覚糖、ノーベル製菓、扇雀飴本舗などメーカー二十数社がある。

 豊下製菓(阿倍野区)は1872年創業。豊下正良社長が「140年の歴史で作っていない飴はない」と言うほど色んな飴作りに挑戦し、最近は、天王寺蕪(かぶら)や田辺大根の搾り汁などを使った「なにわの伝統飴野菜」を販売中だ。パイン(天王寺区)の昨秋の新作はずばり「大阪おばちゃんのあめちゃん」。フルーツ味の飴の外袋はヒョウ柄の服を着た女性のイラスト。「女性が飴を電車内で配る光景に、おすそ分け文化を感じる」と木下堅太・企画課長。同社のモニター調査によると、東京では携帯に便利なスティックタイプも人気だが、大阪は大袋が浸透。自分の巾着袋に複数メーカーの飴を入れて持ち歩く人もいるらしい。

 たがが飴と言うなかれ。世相や文化を読み、各社とも開発にしのぎを削る。この時期、悩ましいのが花粉症の流行予測だ。花粉が多すぎても少なすぎても飴の売り上げが鈍るといい、原材料をどの程度発注するか見極めが難しい。たばこ値上げの時も、禁煙者の増加を見越して新商品を作るか各社の対応が割れた。このほか、酷暑対策の塩味飴、マスクの息苦しさを防ぐメントール味のマスク飴、ツバメの巣の成分を入れたインフルエンザ対策のバリア飴……。業界のあくなき情熱に脱帽だ。

 ちなみに総務省の家計調査(県庁所在市と川崎、北九州両市が対象)を見ると、2007〜09年の平均で、キャンディー購入費が多いのは奈良、大津、宮崎の順。肝心の大阪は……意外にも49都市のうち下から5番目。えー、なんで? 大阪では飴は買うもんではなく、もらうもん、なのかも。そういえば、記者自身、飴を買ったのは2年前が最後だが、もらった飴なら会社の机に常時ある。そう、飴は天下の回りもの!!(山田佳奈)

 ■推薦

 大阪出身のジャズシンガー キャンディー浅田さん

 おせっかいがあったかい

 デビュー時、事務所の社長が芸名をつけてくれました。学生の頃、浅田飴(あめ)にちなんで「あめ子」と呼ばれたこともあったのでそういうものかなと納得しました。仕事柄、飴は必需品です。仕事場で「食べる?」とあげることもあります。場つなぎになりますね。電車内でぐずっている子どもに、乗り合わせた女性が飴をあげているのを見ると、大阪のおばちゃんはがめついように言われるけどおせっかいがあったかいなと感じますね。

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