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ますます勝手に関西遺産

【阪神高速の構造】突き抜けた発想 ビル貫通

2011年7月21日

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写真:阪神高速が貫通するゲートタワービル。実はビルと道路は接しておらず、分離した構造になっている=大阪市福島区、本社ヘリから、中里友紀撮影拡大阪神高速が貫通するゲートタワービル。実はビルと道路は接しておらず、分離した構造になっている=大阪市福島区、本社ヘリから、中里友紀撮影

写真:ゲートタワービル拡大ゲートタワービル

写真:道路がビルの屋上を走る船場センタービル=大阪市中央区、中里友紀撮影拡大道路がビルの屋上を走る船場センタービル=大阪市中央区、中里友紀撮影

写真:ビルの一部が道路を支える構造になっている朝日新聞大阪本社=大阪市北区、本社ヘリから、中里友紀撮影拡大ビルの一部が道路を支える構造になっている朝日新聞大阪本社=大阪市北区、本社ヘリから、中里友紀撮影

イラスト:絵・グレゴリ青山拡大絵・グレゴリ青山

写真:高岡伸一さん拡大高岡伸一さん

地図:    拡大    

 阪神高速を池田方面から走り、梅田出口へ。と、ビルの「どてっ腹」に道路が吸い込まれていく。おおっ、と思う間もなくビルを貫くトンネルに入る。通過すればほんの数秒。近未来都市にきたようだ。

 このビルはゲートタワービル。地上16階の5〜7階部分に開いた穴の中を道路が通る。ビルは貸し会議室だが、案内板の5〜7階部分はちゃんと「阪神高速道路」と書いてある。所有者は、明治からこの地で商売を続け、LPガスなどを売る末澤産業。1980年代半ば、ビル新築計画が浮上した際、ここに高速の梅田出口を作る計画と衝突。数年に及ぶ交渉の末、今の形に落ち着いた。

 しかし、常識的にはありえない発想。交渉した先代社長は、数年前に亡くなり、息子で現社長の末澤正大さん(43)は「どんな交渉をしたかは墓の中」。ただ制度上は、阪神高速側には強制収用という最終手段もあったわけで「粘り強くやったんでしょう」。92年の完成後は変わったビルとして取材も殺到。今年に入ってから中国のテレビ局も、中東の衛星放送アルジャジーラも取材に来たというから、世界が注目するビルなのだ。「よそはこんなのあえて造らないんじゃ、とは思いますが……」

 阪神高速の奇妙な構造は他にもある。東西約930メートルの2〜4階建てビルの屋上部分が道路になっている船場センタービルもその一つ。戦災を免れた船場は、繊維商がひしめき、道路を整備をしようにも権利が複雑でままならない。70年の大阪万博を前に、一気に解決する策として浮上したのが、「でっかいビルの上に高速を通し、地元商店はビルにまとめて入ってもらう」。万博開幕にあわせた開通式で、当時の大阪市長は「世界を通じて当分都心部再開発の一つのモデルとなる」と称賛した。

 「ビルが道路を支える」というと、朝日新聞大阪本社の社屋もまた、西の端に阪神高速を乗っけている。しかも大型車が通ると社屋が揺れる、というオマケつきで。元々は大阪市の土地だった。60年代初め、朝日新聞が社屋の拡張計画を立てた際、ここにも道路を通す計画があり、市が「社屋の上に無償で道路を通すなら、朝日に土地を売る」ということになったのだとか。

 現在、現ビルを高層に建て替える計画が進んでいるが、阪神高速を支えるビル部分は耐震補強をした上で残す。阪神高速の担当者は、「朝日新聞が潰れると、ウチも面倒なんでがんばって下さい」と優しいお言葉。ええ、がんばりますとも!

 正確な数は把握できないが、こうした空間利用は東京より大阪に多い。「必ずしも好んで作ったわけではないが、過密な土地で知恵を絞った結果」(阪神高速)という。ややこしい交渉ごととオモロイもん、どっちも大阪人の得意技ということか。(千葉雄高)

■推薦

大阪のビルに詳しい建築家・高岡伸一さん(40)

道と建物、一緒でええ

 道路の上に建物は建てないというのが制度上の原則ですが、これらのビルはまさに「いってまえ」という感じ。

 道路と建物が土地をとりあった時代だったのだとは思いますが、こんなビルが大阪に多いのはなぜでしょうね。商売してきた土地への愛着というのもあると思いますが、道路、建物という枠にとらわれず「一緒にしてもうたらええやんか」という大阪人らしさかもしれません。

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