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ますます勝手に関西遺産

【なにわ】何はなくとも最高やん

2011年8月4日

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写真:大阪府自家用自動車連合協会なにわ事業所にそろえられたなにわナンバーのプレート。中には「・728」の数字も=大阪市住之江区、中里友紀撮影拡大大阪府自家用自動車連合協会なにわ事業所にそろえられたなにわナンバーのプレート。中には「・728」の数字も=大阪市住之江区、中里友紀撮影

写真:立ち飲み屋「七二八」の看板と店長拡大立ち飲み屋「七二八」の看板と店長

イラスト:絵・グレゴリ青山拡大絵・グレゴリ青山

 大阪に引っ越した友人に、横浜から会いに行った大学時代。彼女の愛車をみた私、思わず「うわっ、なにわ!」。見慣れぬそのナンバープレートは、「しばくぞ、われ」とコワモテな空気を醸し出していた。幼なじみが別世界に行ってしまったような衝撃だった。あれから十数年。だいぶ慣れたが、フシギは残る。ナンバーって、広島とか神戸とか、自治体名のはず。なにこの、ニュアンス的な感じ。「大阪」は大阪市外で、市内は「なにわ」。しかもひらがな。

 そもそも、漢字はどこへいった? 広辞苑には「難波・浪速・浪花。大阪市及びその付近の古称」。日本古典文学大系をめくると、日本書紀に「奔(はや)き潮(なみ)有りて太(はなは)だ急(はや)きに會(あ)ひぬ。名(なづ)けて浪速國(なみはやのくに)とす。亦(また)浪花(なみはな)と日(い)ふ。今、難波(なには)と謂(い)ふは訛(よこなま)れるなり」とある。万葉集には那爾波、奈爾波の表記も。古くから、すでにごちゃごちゃ状態。「ナニワは『水のひいたところ』の意」と、アイヌ語説を唱える学者もいれば、「太陽を祀(まつ)る神聖な場所をさすナルヒハがつづまった」と朝鮮語説まで! 結局今にいたって、語源は不明らしい。なのにこの定着ぶり。すごい。

 で、なにわナンバー。デビューは1983年と意外に若い。大阪府内は大阪と和泉の二つだったが、車が増え、両方にまたがる大阪市を“独立”させることに。その際、何を名乗るか議論になった。登録事務所所在地という原則通りだと「住之江」。でも「大阪を代表してへん。他の区から苦情が来る」の反対意見。「南港」は「地域性を表してない」、「御堂」も「字画が多くてややこしい」と却下。結局、「全国的に名が通ってる。漢字表記が多い」との理由で「なにわ」に決定。ひらがな、かつ実在しない自治体名という珍しいナンバープレートの誕生となった。「すべてを含んだ感じやし、何より目立つ」。国土交通省近畿運輸局の岩本修課長(55)が笑う。

 街にも、いろんな「なにわ」があふれる。「浪華の古本屋ぎっこんばったん」を昨夏出版した老舗古書店主、坂本健一さん(88)は「字面が安定感があるし、見た目に華やか」だから「浪華」を選んだ。「住んでるのが浪花町やから浪花にしたらえらい狭い感じになってまうし」。天神橋筋商店街の居酒屋「七二八」は、店長の誕生日にあやかった。「実家が『大阪』ちゅう食堂やからこっちはなにわにしました」。「なにわことばのつどい」名誉顧問の中井正明さん(78)は、愛車のナンバーを、希望番号制で「・728」にした。「なにわが誇りやから」

 浪花と書けば、「浪花節」のようにどことなく人情味を帯び、浪速と書けば、赤井英和や亀田三兄弟のように汗がほとばしる感じ。そして、ナニワと書けば、「ナニワ金融道」のように、とたんにイカつくなる。でも、どう書こうがええやん。なんとなく、伝わればいい。このファジーさが、実に大阪的。なにわともあれ、なにわはなにわなのだ。(宮崎園子)

メモ

 大阪市浪速区は、4年前から7月28日を「なにわの日」に制定。この日前後に各種催しを展開している。詳細はホームページ(http://www.city.osaka.lg.jp/naniwa/)

■推薦

シンガーソングライター・矢井田瞳さん(32)

女も強いでやったるで

 誕生日は7月28日、大阪生まれの大阪育ち。なにわ生まれのなにわ女です。仕事柄色んな地方に行きますが、なにわ女は本当にパワフル。特に、逆境やピンチの時、笑いのパワーで乗り越えたり、「よっしゃ私がやったろ!」と自らが前にでる感じは、なにわならでは。疑問や矛盾を発見したらすぐ突っ込んでしまうところも、なにわ女の強いところ。私も、なにわ女パワーで、人生を力強く泳いでいきます。

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