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ますます勝手に関西遺産

【舞洲ゴミ処理工場】派手に誘惑 これぞ大阪

2011年9月29日

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写真:これでも「ゴミ処理工場」。526ある窓のうち、393は装飾だ=大阪市此花区、中里友紀撮影拡大これでも「ゴミ処理工場」。526ある窓のうち、393は装飾だ=大阪市此花区、中里友紀撮影

写真:これでも「ゴミ処理工場」。526ある窓のうち、393は装飾だ=大阪市此花区、中里友紀撮影拡大これでも「ゴミ処理工場」。526ある窓のうち、393は装飾だ=大阪市此花区、中里友紀撮影

写真:これでも「ゴミ処理工場」。526ある窓のうち、393は装飾だ=大阪市此花区、中里友紀撮影拡大これでも「ゴミ処理工場」。526ある窓のうち、393は装飾だ=大阪市此花区、中里友紀撮影

写真:シンボルとなっている煙突拡大シンボルとなっている煙突

写真:陽光を反射して輝くシンボルの煙突拡大陽光を反射して輝くシンボルの煙突

イラスト:イラスト・グレゴリ青山拡大イラスト・グレゴリ青山

 旅行雑誌「るるぶ」でも紹介された。昨年の見学者約1万4千人の5分の1が、台湾や香港など海外からという。2001年の完成から10年で15万人以上が訪れた大阪名所だ。

 大阪市西部の埋め立て地、舞洲(まいしま)の玄関口にそびえ立つ。テーマパーク「USJ」が近く、「間違えて来た人がいるそうです」と、西村朗工場長は誇らしげだった。

 白い外壁に赤、黄、黒が混じる奇抜な色づかい。曲線で柔らかさを感じる構造。煙突にある赤い稲妻のような模様は、燃焼の炎をイメージしているという。

 デザインは、オーストリア出身の芸術家、故フリーデンスライヒ・フンデルトバッサー。実際の設計は別のスタッフが担当するため、彼は自由奔放な発想でデザインを描くことができたという。

 「建築を自分を守る皮膚の延長のようにとらえ、無機質なものを避けた彼の発想から生まれている。単なる美術品ではなく、混沌(こんとん)とした大阪のまちの雰囲気に溶け込んでいる」

 フンデルトバッサーに詳しいフリーライター高安正樹さんの分析だ。庭の草木も、「自然にかえる」という発想で造られた工場のコンセプトに沿って植えられているという。

 でも、どうして大阪市は彼にデザインを頼んだのか。

 実は、五輪招致が絡んでいた。

 市が芸術家に接触したのは着工前年の1996年。当時、すでにウィーンのシュピッテラウ焼却場の改装デザインを手がけ、有名になっていた。舞洲工場にあるシュピッテラウ焼却場の模型を見ると、舞洲ほど派手ではないがユニークさではひけを取らない。市建設企画課の村上真也課長によると、現地でも観光スポットになっているという。

 ちょうど大阪が、五輪招致をめざしていた時期。インパクトのある工場を建設し、招致に弾みをつける。そんな狙いもあって、事業費約609億円のうちフンデルトバッサー側に6600万円を奮発した。

 でも、五輪は来なかった。結局、無駄遣いになったのでは……?

 「同じ規模の工場のデザイン料としては高くない。それに他工場に比べ多くの人が訪れ、ゴミ処理や工場への関心を持ってもらう良い機会が生まれている。むしろ安かったほうやと思います」(西村工場長)

 したたかな大阪商人的発想か。

 そういえば、せっかくの外観を出来るだけ長く使う工夫もしている。

 「工場の耐用年数の25〜30年が過ぎれば外観も含め建て替えるもの。でも、今回は中の機械だけ入れ替えられるようにして、外観はその2倍、持つようにした」(村上課長)

 彼がデザインしたゴミの焼却工場は世界に二つだけ。未来の大阪でどう評価されるかが、興味深い。(岩本哲生)

    ◇  

メモ 最寄り駅はJRゆめ咲線の桜島駅。見学は、希望日の10日前までに工場(06・6463・4153)へ申し込む。同じくフンデルトバッサーがデザインした市の下水汚泥処理場「舞洲スラッジセンター」も近くにある。

    ◇   

■推薦

歌手・アーティストの石井竜也さん(51)

日本人は誇りに思って 

 生前のフンデルトバッサー氏にニュージーランドでお会いしました。そこで彼は、20年以上をかけ、開拓地を原生林に戻す活動をしていました。「自然」に対する大きな見地と知性を見せつけられたことが忘れられません。彼の発想を反映した大阪の「作品」の価値はとても高く、僕から言わせれば正真正銘の世界遺産に匹敵するほど。大阪人、いや日本人はもっと誇りに思うべきです。

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