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ますます勝手に関西遺産

【レジャービル味園】昭和な不夜城 よっしゃ

2011年11月10日

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写真:元キャバレーの「ユニバース」は貸しホールに。音楽イベントなどが開かれる=大阪市中央区、中里友紀撮影拡大元キャバレーの「ユニバース」は貸しホールに。音楽イベントなどが開かれる=大阪市中央区、中里友紀撮影

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写真:500人が集まることのできる味園の大宴会場。大瓶ビールは今も290円だ拡大500人が集まることのできる味園の大宴会場。大瓶ビールは今も290円だ

写真:ビル内には、バーや喫茶店レコード店もある拡大ビル内には、バーや喫茶店レコード店もある

イラスト:絵・グレゴリ青山拡大絵・グレゴリ青山

写真:チチ松村さんチチ松村さん

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 「みその……、みその……」。昔は深夜のテレビCMの常連で、エコーの声が睡眠学習のように脳ミソに刻まれたもんです。だからアナタも知っている……はず。「レジャービル味園(みその)」を。

 味園が黒門市場に近い大阪・千日前に現れたのは1956年。地上5階、地下1階の大建築は初代オーナーの故・志井銀次郎氏がデザインした。今なお大瓶ビールは290円、500人OKの5階の大宴会場は、キンキラふすまに真っ赤な柱、欄間には竜の彫刻が躍る。

 4階は、客室の窓側が風呂場になっているホテル。室内のオブジェ風の柱や真っ赤なじゅうたんがリッチな感じ。とまあ、入れば朝まで過ごせるのがここのウリ。4階には赤や青の照明がでこぼこの天井を照らす鍾乳洞風サウナもあるが、こちらは残念ながら閉鎖中だ。

 圧巻は地下のキャバレー「ユニバース」。かつてはフロアをぶち抜いた天井高12メートルの巨大スペースで、最盛期の在籍ホステスは1千人。一歩入れば2万個の電球がキラキラチカチカ輝いて気分はすっかりロマンチカ。舞台では踊り子を乗せたUFO型の仕掛けが上下する凝りようで、62年にはアメリカの写真誌ライフに「日本最大のクラブ」と見開きで紹介された。

 往時を知る電気部門の担当者によると、かつてあったダンスホールは10代の和田アキ子が専属歌手だったそうだ。ピンク・レディーは売れる前に安く契約していたが、公演直前に大ブレークし長蛇の列ができたなどなど、伝説は電球の数並みに多い。そのユニバースも今年3月、営業を終了した。

 だが、だが、なのだ。今、味園が熱い。ユニバースは内装をそのままに貸しホールとして再スタート。高度成長を謳歌(おうか)した昭和テイストが、低迷ニッポンで育った平成っ子の琴線をくすぐり、音楽イベントや披露宴などに使われている。

 しかも、高度成長期のビルの愛好家でつくる「ビルマニアカフェ」が、昨年から夏に見学を兼ねたビアガーデンを開催。河内家菊水丸さんを招いて「エンヤコラセー、ドッコイセ」と盆踊り大会まで開いた。

 同カフェの建築家高岡伸一さん(41)は「オーナーの個性と改装を重ねた成り行きでできた面白みが味園建築の魅力」と話す。

 ここ数年は、1、2階のテナントスペースに、若者が手がける現代アートのギャラリーやカフェが入居。中にはコスプレ系の店も。

 中身が代わりながら愛され続ける味園は、スクラップ・アンド・ビルドを繰り返してきた日本の建築文化に一石を投じるか。かくして飲食の殿堂は、サブカルチャーの殿堂としても飛躍する。味園でよっしゃ。(神田剛)

    ◇

■推薦

「ゴンチチ」ギタリスト・チチ松村さん(57)

サウナで演奏したい

 2003年に5階宴会場でファンの集いをしました。すき焼き食べてる前で演奏し、卓球大会までやった。料理もおいしかった。教会や水族館などいろんなとこで演奏しましたが、オーナーの世界が形になった味園には、「こんなとこあんねんな〜」と感心しました。閉鎖されたサウナは洞窟のようだったそうですが、気になりますねえ。一度、演奏してみたいです。

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