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ますます勝手に関西遺産

【満月ポン】濃い〜味 恋しいの〜

2012年2月2日

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写真:「満月ポン」を持って笑顔を見せる松岡製菓会長の松岡力王丸さん。肌はツヤツヤだ=大阪市住之江区、池田良撮影拡大「満月ポン」を持って笑顔を見せる松岡製菓会長の松岡力王丸さん。肌はツヤツヤだ=大阪市住之江区、池田良撮影

写真:串を使って鉄板から素早く菓子をすくい上げる=大阪市住之江区、池田良撮影拡大串を使って鉄板から素早く菓子をすくい上げる=大阪市住之江区、池田良撮影

写真:横山たかしさん(左)、ひろしさん拡大横山たかしさん(左)、ひろしさん

 大阪で生まれ育った記者は、物心がついた時から食べていた。その枚数、30年間で数千枚、ひょっとしたら万を超えるかも。

 小麦粉を焼き上げ、しょうゆで味付けした素朴なお菓子。直径6センチ、厚さ1センチ弱。香ばしくサクッとした歯触りが魅力だ。

 しかも1枚1枚、味や食感が違う。これがまた、たまらない。しょうゆが濃かったり、他より厚かったり。我が家では濃い味が人気で、その1枚をめぐって壮絶な兄妹げんかが繰り広げられた。負けた妹は「お兄ちゃんが死んでも泣けへんと思う」と言い放ち、しばらく口もきいてくれなかった。

 作っているのは、大阪市住之江区東加賀屋にある「松岡製菓」。民家に紛れて立つこぢんまりとした工場で、約30人の従業員が手際よく作業していた。

 少量の食塩水を混ぜた数種類の小麦粉に、独自の機械で圧力をかけて膨らませながら、焼く。小麦粉の量や圧力のかかり方で厚みに差ができるという。次に衣類の乾燥機のように回転する機械に入れ、数種類のしょうゆなどでつくる秘伝の液を吹きつける。ここで濃い薄いの違いがでるのだ。一日40万枚ほど焼いているそうだ。

 松岡製菓は1958年創業。創業時から関わる松岡力王丸(りきおうまる)会長(74)は「昔から味はほとんど変わってない。味を保つために機械化できない部分も多い」。

 一斗缶に入れ自転車で売っていた発売当初、菓子に特定の名前はなく、単なる「ぽんせん」と呼んでいた。数年後、大手スーパーに袋詰めで置いてくれることになり、「せっかくやから名前をつけよう」となった。ちょうど、米国のアポロ計画が世間の注目を浴びていた。そういえば、菓子もお月さんに見えないか。「ほな満月にしよか」となったという。なんとも壮大な(?)話だ。

 力王丸さんは、社長を退いた今も誰よりも早く工場に立ち、誰よりも遅くまで作業する。「そら自分の子どもみたいにかわいい。体の一部や」。袋の裏に、「製造者・松岡力王丸」と印刷してある。一時、記載をやめた時、客から「あの名前を見ると力をもらえたのに」との声が多数届き、復活させたという。

 ホームページを立ち上げたところ、注文が全国から届くようになった。力王丸さんの息子で社長の清徳さん(48)は「今では米国や東南アジアからも注文が来る」と話す。

 ホームページでアンケートをして、商品開発にも生かした。最近では、しょうゆ1・5倍の「濃い〜味 満月ポン」をネットで限定発売し、好評という。これがもっと早く売られていれば、あんなにつらい兄妹げんかは起きなかったのになあ。(向井大輔)

    ◇

メモ 1袋(90グラム)25、26枚入りで150円。「塩ぽんせん」や「黒みつしょう油味」など約25種類ある。お試しセットは1500円。詳しくはホームページ(www.mangetupon.co.jp)で。

    ◇

■推薦

横山たかし(63)、ひろし(65)さん

マヨやソース合うの〜

 私たちも長年味わわせてもろてます。まさにベタな関西の味。マヨネーズやソースをつけてもよう合うんです。先日、松岡製菓のみなさんの前で漫才をさせてもらう機会がありました。家族経営で、みなさん笑顔で感じがいい。雰囲気がもう「満月ポン」なんです。変わらない味をずっと残してほしいですね。私たちもコンビ結成44年目。満月ポンに負けない「大阪の味」、出していきまっせ。

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