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ますます勝手に関西遺産

【加茂鉄道博物館】2500点超!テツは高価なり

2012年4月5日

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写真:「くろしお」の横長ヘッドマークはボンネット型だった初期のディーゼル特急時代の貴重なもの。さよなら列車など急行用も珍しいものばかりだ=京都府木津川市、高橋一徳撮影拡大「くろしお」の横長ヘッドマークはボンネット型だった初期のディーゼル特急時代の貴重なもの。さよなら列車など急行用も珍しいものばかりだ=京都府木津川市、高橋一徳撮影

写真:たくさんの鉄道グッズを収集し、自宅を鉄道資料館にしている蔵城貞允さん=京都府木津川市、高橋一徳撮影拡大たくさんの鉄道グッズを収集し、自宅を鉄道資料館にしている蔵城貞允さん=京都府木津川市、高橋一徳撮影

地図:  拡大  

写真:絵・グレゴリ青山拡大絵・グレゴリ青山

写真:難波久士さん拡大難波久士さん

 その民家にたどり着くと、玄関脇に青いランプがついている。さびた駅の出発信号機の青信号だった。

 「ようこそおいでまっしゃ、という意味でんねん」

 駅長の制服、制帽姿で出迎えてくれたのは館長の藏城貞允(くらじょうさだみつ)さん(78)。民営化の直前、阪和線の長居駅長を最後に退職した元国鉄マンだ。

 京都府木津川市加茂町のレトロな雰囲気が残る一角。町にあるJR加茂駅は、JR大阪駅発「大和路快速」の終点。明治時代から機関区が置かれ、神戸にあった国鉄の修理工場が戦時中、一時移されるなど、「鉄道の町」として栄えた。

 畳の部屋に通されて驚いた。あるわ、あるわ。かつて客車の外側に掛けられた行き先票の束。行きと帰りでひっくり返して使われた。表が「湊町(現・JR難波)行」、裏が「東京行」。姫路行と鳥羽行といった組み合わせもある。

 「かもめ」「南紀」「くろしお」などディーゼル特急や記念列車のヘッドマーク。別の部屋には、蒸気機関車(SL)の「C58179」、ディーゼル機関車の「DD511033」、電車特急のグリーン車「サロ481―61」。ナンバープレートや製造工場を示す銘板も。「やまと」「あすか」といった今はない列車の愛称板に改札パンチ、「乗客専務」「電車運転士」の腕章、襟章、記念硬貨。ビデオやポスターまで含めると、総数2500点以上。マニア垂涎(すいぜん)のグッズばかりだ。

 1985年から博物館を名乗る。「おやじがSLの機関士で、あこがれました。書棚の引き出しをこっそり見たら、レールを切断した記念品や記念の杯があって。それでグッズに目が行くようになったんですわ」。鉄道少年は国鉄に入るが、体格などから運転職につけず、車掌や事務職をしながら収集を続けた。

 長浜鉄道スクエア(滋賀県長浜市)の非常勤学芸員・木村宏さん(69)も舌を巻く。「好きというだけでなく、目利きがある。車両こそないが、グッズ収集では恐らく日本一では」

 なかでも驚きは、筆文字で右から左へ書かれた草津線三雲駅の木製の駅名標だという。館長によると、「捨てるけどいらんかと連絡があった。集めておけば歴史を語る証人になると思いましてな」。

 情報があれば、今でもすぐに駆けつける。収集に投じた額は「百万円単位ではきかない」。妻弘子さん(73)の協力があってこそだろう。

 博物館は、「本当は自由に見ていただきたい」が、原則非公開。資料の出し入れが大変だから、という。

 「最近、一人でよう集めたのうと思うんですわ。コレクションに囲まれた部屋で鉄道の音を聞きながら逝けたらええ。死ぬまで日本の鉄路を愛し続けたいんです」(横川修)

    ◇

■推薦

旧加茂町長で「加茂の鉄道遺産に親しむ会」副会長 難波久士さん(76)

きっちり確認、さすが

 加茂町など3町が合併して木津川市になった際、一緒に「加茂の鉄道遺産に親しむ会」を作り、加茂駅東にSLの動輪を置きました。鉄道部品の展示会を見に、京都府舞鶴市や岐阜県関市まで出かけたことも。未入手品がないか丁寧に確認されるんです。ほぼすべてを網羅した展示品リストまで作る几帳面な性格だからこそ、あれほどのコレクションができたのでしょう。

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