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ますます勝手に関西遺産

【ラジオ塔】とうの昔に役割…終えず

2012年5月24日

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写真:今は使われなくなったラジオ塔近くで毎朝ラジオ体操する近隣住民のみなさん。中は空洞になり、落ち葉がたまっていた=京都市北区の船岡山公園、竹花徹朗撮影拡大今は使われなくなったラジオ塔近くで毎朝ラジオ体操する近隣住民のみなさん。中は空洞になり、落ち葉がたまっていた=京都市北区の船岡山公園、竹花徹朗撮影

写真:絵・グレゴリ青山拡大絵・グレゴリ青山

写真:落語家桂吉弥さん拡大落語家桂吉弥さん

 昭和の時代、力道山のファンが囲んだのは街頭テレビ。平成の世、ラジオ体操の愛好者が望むのは「街頭ラジオ」、ラジオ塔の復活だ。

 正式には「公衆用聴取施設」という。石やコンクリート製で、高さはだいたい2〜3メートル。見た目は灯籠(とうろう)か焼却炉のようだが、中に受信機とスピーカーがあり、おなかの辺りのボタンを押すと放送が流れた。

 1925(大正14)年、NHKの前身の東京放送局がラジオ放送を始めた。高級品だったラジオを普及させようと、公園や神社の境内にラジオ塔の建立を構想。30年、大阪・天王寺公園を皮切りに立て続けに関西に4基建ち、その後、全国に広がっていった。

 それにしても、関西発祥はなぜ? 「ナゾです」とNHK放送博物館の佐藤紘司学芸員。ただ、その後の爆発的な展開は「非常時の情報提供の手段だったのでは」とみる。

 太平洋戦争が始まった41年には460基あったと「ラヂオ年鑑」にある。だが、翌年から塔の記述はこつぜんと消える。消えたデータを追ったのは、メディア史に詳しい国立民族学博物館の元客員教授、吉井正彦さん(67)。建立の終幕は43年ごろ。金属回収で受信機などが持ち去られ、ラジオの普及と戦後のテレビの登場で忘却のかなたへ――。

 各地のラジオ塔はどうなったのか。吉井さんは現存する塔を捜し回り、24基を確認。最多は戦災を免れた京都の8基、次いで大阪5基、兵庫・石川2基。あとは横浜、新潟、岡山などに1基ずつ。何の因果か、発祥の関西に多く残っていた。

 京都市北区の船岡山公園。毎朝6時半、ラジオ塔のそばで50〜60人が、持ち込んだラジオから流れる放送に合わせて体操する。「幼い頃、父親に連れられ、よくラジオ体操やニュースを聞いたもんです」。鷲尾泰男さん(79)は少し傾いた沈黙の塔を見上げ、振り返った。体操仲間は昭和の遺産を残そうと署名を集め、市に修復を求めた。だが担当者は「騒音になり、近所迷惑」などと首を縦に振らなかった。

 一方で、再評価する動きもある。堺市は昨年、戦前の暮らしを伝えようと大浜公園に500万円かけて複製を設置。1日6回、ラジオ体操や音楽を流す。徳島市は09年、中央公園の塔を「市民遺産」に認定。前橋市の中央児童遊園の塔は07年、国の登録有形文化財に指定された。

 「捜せばもっとある」(吉井さん)というラジオ塔。非常時の情報伝達から平和の世の健康づくりへ。役目を替えようとたたずむ塔が、あなたの町にもあるかもしれません。(中塚久美子)

    ◇

メモ 関西に現存するラジオ塔 京都=円山、船岡山、御射山(みさやま)、小松原、橘、紫野柳(むらさきのやなぎ)、萩の各公園、叡山ケーブル八瀬駅近く▽大阪=大浜、住吉、中之島、大阪城、豊中・大曽の各公園▽兵庫=諏訪山公園、明石・中崎遊園地(吉井さん調べ)

    ◇

ABCラジオなどで司会を務める落語家の桂吉弥さん(41)

「みんな一緒」は未体験

 ラジオ塔、全然知りませんでしたけど、面白そうですね〜。僕は昔からラジオっ子。阪神大震災の時、通っていた神戸大の落研の部室前で持参のラジオを流していると、他部の人も来て輪ができた。すごい役に立つんやと思いました。ラジオは自分だけに語りかけられている心地になるんですが、「みんな一緒に」というのは未体験。落語をしたらどうなるか、興味ありますね〜。

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